ザ・シネマ 沿革

ザ・シネマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 02:48 UTC 版)

沿革

  • 2005年12月1日 - スカイパーフェクTV!(現・スカパー!プレミアムサービス(標準画質放送))で放送を開始。
  • 2006年4月1日 - スカイパーフェクTV!100(現・スカパー!)で放送を開始。
  • 2008年4月1日 - JCNの一部のグループ局でハイビジョン放送「ザ・シネマ HD」の放送を開始。
  • 2009年10月1日 - スカパー!HD(現・スカパー!プレミアムサービス)でハイビジョン放送を開始。
  • 2010年
    • 6月28日 - スカパー!e2(現・スカパー!)にて16:9(1.78:1)フルサイズのSD放送を開始。
    • 12月17日 - 東北新社がベーシック・エンターテイメントを連結子会社化。
  • 2011年
    • 3月25日 - 東北新社の子会社「株式会社ザ・シネマ」設立。
    • 5月1日 - 株式会社ザ・シネマがベーシック・エンターテイメントから当チャンネルの運営を譲受[2]
  • 2016年12月1日 - スカパー!プレミアムサービスの衛星一般放送事業者が、同プラットフォームの全テレビチャンネル一斉にSPBCからSPETに変更。
  • 2017年
    • 1月24日 - 東北新社がBS4K放送「映画エンタテインメントチャンネル」(仮称)の衛星基幹放送事業者としての認可を受ける。
    • 9月1日 - 東北新社メディアサービスがこの日設立、同時にスカパー!の衛星基幹放送事業者がSPETから同社に変更。
    • 10月1日 - 東北新社がBS4K放送の放送事業を東北新社メディアサービスに事業移管。
  • 2018年
  • 2021年
    • 3月26日 - 放送法の定める外資比率基準に違反したとして、「ザ・シネマ 4K」に関する衛星基幹放送事業者認定の取り消しの行政処分が、総務大臣武田良太から下される(後述[3]
    • 3月31日 - BSにおける「ザ・シネマ 4K」の新規契約の受け付けを終了[4]
    • 4月30日 - この日をもって「ザ・シネマ 4K」が、BS Ch.4K 203での放送を終了(視聴契約も強制解約)し、CATVでの配信に一本化[4]
    • 5月1日 - 同日付で「ザ・シネマ 4K」に関する衛星基幹放送事業者認定の取り消しの行政処分が執行。
  • 2022年10月3日 - 東北新社が保有する株式をノジマの子会社であるAXNへ譲渡[5][6][7]
  • 2023年
    • 3月31日 - 同日付で「ザ・シネマ 4K」の放送を終了[8]
    • 4月1日 - 運営会社である株式会社ザ・シネマがAXN株式会社に吸収合併された[9]

衛星基幹放送事業者認定に関する問題

東北新社の役職員による総務省の幹部を接待していた問題に絡んだ形で、2021年3月5日に行われた参議院予算委員会の質疑において、立憲民主党議員の小西洋之から、東北新社のBS4Kチャンネルの衛星基幹放送事業者の認定に際し、放送法で規定されている外資規制に違反しているという指摘があった[10]

衛星放送を含めた基幹放送事業者として事業認定を受ける際には、放送法第93条第1項第7号で掲げられた要件の一つとして、外資からの出資比率が20%未満である事が規定されており、20%を超えている場合は同法第103条第1項に基づいて認定を取り消すことが可能となっている。小西の指摘によれば、東北新社は2017年1月24日に総務省からBS4K放送の認定を受けたが、同年3月31日付の有価証券報告書では外資比率が21.23%とされており、この時点で外資規制違反に当たるとしている。だが、総務省は認定を取り消さず、東北新社は同年10月に子会社の東北新社メディアサービス(以下、メディアサービス)に事業移管を行っていた[11][12]。小西の指摘に対し、総務大臣武田良太は答弁で「外資規制に違反していた可能性が高いと考えられる」と認め、「東北新社からの確認を得て、ルールにのっとって必要な対応を取りたい」と回答した[13]

その後、事実関係の調査の実施とともに東北新社から説明を求めたところ、東北新社から「2016年10月の申請から2017年1月の認定までの間の正しい外資比率は20.75%であり、20%未満で申請したのはミスであった」と回答を受け、また提出資料を精査した結果放送法の規定要件を満たしていなかったことも確認された。これを受けて武田は2021年3月12日に行われた記者会見で、総務省による東北新社への放送事業の認定について重大な瑕疵があったと判断、事業を承継したメディアサービスに対し「ザ・シネマ 4K」に関する衛星基幹放送事業者としての認定を取り消す行政処分(以下、本処分)の方針を明らかにし、メディアサービスに対して同年3月時点で約700世帯の契約者への周知を行うよう要請する方針を示し、総務省に対しても事態を重く受け止め審査体制の強化を検討していくとした[3][14][15]

総務省は2021年3月17日に非公開の聴聞を行った上で、3月26日に5月1日付で本処分を執行することを発表した[16]。これを受けて、東北新社とザ・シネマは4月30日24時をもってBS Ch.4K 203「ザ・シネマ 4K」の放送を終了することを発表した[17][4]。これによりザ・シネマは新4K8K衛星放送史上初の完全撤退(試験放送を除く)と相成った。更に、衛星基幹放送事業者の認定取り消しの行政処分が下されるのは現行制度では史上初、旧制度の委託放送事業者を含めても2006年10月31日の放送を最後に翌11月1日から長期間にわたり放送休止となり、放送再開の目処が立たぬまま2007年11月14日に出された電波監理審議会からの答申(9月12日諮問)をもって即日執行されたWorld Independent Networks Japan(WINJ)[18]以来2例目[注 2]の事案であり、最終放送日基準で実に14年半ぶり[注 3]の不祥事であった[15]

なお衛星基幹放送事業者の認定はチャンネル(法令上は「番組」)毎に行われるため、同じメディアサービスが放送している「ザ・シネマ(HD)」(CS Ch.227)「ファミリー劇場」(CS Ch.293)「スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメ」(CS Ch.310)、同じ東北新社系列であるがメディアサービスとは別の衛星基幹放送事業者として直営放送している「スターチャンネル(HD)」(BS Ch.200-202)[注 4]と「囲碁・将棋チャンネル」(CS Ch.363)は、いずれも認定時点で同様の瑕疵が無かったとして本処分の対象から外されている[19]

本処分が執行される5月1日以降は、テレビ受像機の誤作動回避のため、放送設備の撤収(最長で6月30日)までは、黒画面もしくはテロップの表示が認められる[16]

ケーブルテレビでは、本処分執行後の明暗が分かれた。日本デジタル配信(JDS)が実施しているCATV向けCSデジタル放送配信サービスでは本処分とは無関係に「ザ・シネマ 4K」の配信を継続するため、「ザ・シネマ 4K」をJDSで放送しているCATVは5月1日以降も放送を継続することが出来るが、BS再放送で放送していたCATVは4月30日の放送終了をもって強制終了されたためである。JDS利用局であれば信号元をBSからJDSへ切り換えることで強制終了の回避や強制終了後の放送再開が(少なくとも技術的には)できる[注 5]が、本処分が下された時点でジャパンケーブルキャスト(JCC)が実施しているJC-HITSでは「ザ・シネマ 4K」を配信していないため、JC-HITS単独利用局はBS再放送で放送するしかなく、同時点でJC-HITSでの配信を開始する動きも見られないまま4月30日に強制終了された。

本処分が下された時点で既にJDSで放送していたため、5月1日以降も放送を継続しているCATV局は以下の通り[4]

  • JCOM(本処分執行当時はジュピターテレコム、J:COM)各局 - 各局自体はJ:COMから配信されるが、J:COM本体がJDSの全国光NWを利用。
  • 横浜ケーブルビジョン(YCV) - J:COM系列であるが、別途JDSの首都圏光NWを利用。
  • ケーブルテレビ株式会社栃木県
  • 愛媛CATV - 武田が本処分の方針を示した翌3月13日には、本処分が自局での視聴には影響しないことを告知していた(そもそもBS再放送では放送しておらずJDSのみで放送していた)[20]。なお同局はJDSとJC-HITS併用。

その後、「ザ・シネマ 4K」の放送を継続しているCATV各局についても2023年3月31日付で放送を終了することを2022年12月20日に発表した[8][21]


注釈

  1. ^ 法令上は申請時の仮称で認定されている。
  2. ^ 放送事業者の意向により、放送事業の撤退や閉局が行われた事例を除く(これらの事例はそもそも処分自体がない)。
  3. ^ 処分執行日基準では13年5ヶ月半ぶり
  4. ^ 「スターチャンネル 4K」(CS Ch.4K 881)の衛星基幹放送事業者は別会社であるSPETであるため、放送終了は免れている。
  5. ^ この場合はネットワークが変更されるため、チャンネル番号も変更される。

出典

  1. ^ a b 株式会社ザ・シネマ 第12期決算公告
  2. ^ 洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」の事業主体が変更、5月に事業譲渡 2011年4月11日 ITPro
  3. ^ a b 東北新社の認定取り消しへ 総務省に「重大な瑕疵」 共同通信 2021年3月12日
  4. ^ a b c d 「ザ・シネマ4K」ご視聴中の皆さまへ お詫びとお知らせ”. 株式会社ザ・シネマ (2021年3月26日). 2021年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月3日閲覧。
  5. ^ 株式会社ノジマ (2022年8月5日). “当社連結子会社による株式会社ザ・シネマの株式取得に関するお知らせ” (PDF). 2022年8月5日閲覧。
  6. ^ 株式会社東北新社 (2022年8月5日). “株式会社ザ・シネマの株式譲渡に関するお知らせ” (PDF). 2022年8月5日閲覧。
  7. ^ 東北新社、ザ・シネマの全株式を売却 本日付けでAXNの子会社に”. シネマカフェ (2022年10月3日). 2022年12月2日閲覧。
  8. ^ a b 【お知らせ】「ザ・シネマ4K」は放送を終了いたしました”. 洋画専門チャンネル ザ・シネマ (2023年4月1日). 2023年4月16日閲覧。
  9. ^ 子会社の吸収合併に関するお知らせ”. AXN株式会社 (2023年4月1日). 2023年4月16日閲覧。
  10. ^ 東北新社、外資規制で放送法違反 事業認定取り消し焦点、共同通信、2021年3月5日
  11. ^ 東北新社の違反疑惑「決裁は山田氏」の答弁にどよめく、朝日新聞デジタル、2021年3月5日
  12. ^ 東北新社 4年前に外資規制違反の可能性も事業認定取り消されず、NHK政治マガジン、2021年3月5日
  13. ^ 東北新社、放送法違反の可能性 外資規制に抵触―武田総務相、時事ドットコム、2021年3月5日
  14. ^ 株式会社インプレス (2021年3月12日). “総務省、東北新社の放送事業の認定取消しへ。外資規制違反”. AV Watch. 2021年3月12日閲覧。
  15. ^ a b 東北新社、外資20%規定に違反 子会社の衛星放送事業取り消しへ”. 毎日新聞 (2021年3月12日). 2021年3月12日閲覧。
  16. ^ a b 株式会社東北新社メディアサービスの放送法第93条第1項の認定(BS第125号)の取消し、総務省、2021年3月26日
  17. ^ BS放送「ザ・シネマ4K」サービス終了について”. 東北新社 (2021年3月26日). 2021年3月26日閲覧。
  18. ^ World Independent Networks Japan 株式会社の認定取消しについて(平成19年9月12日 諮問第35号)”. 総務省総合通信基盤局総務課・総務省情報通信政策局衛星放送課. pp. 19-34 (2007年11月14日). 2021年3月12日閲覧。
  19. ^ 東北新社の認定取り消し、スターチャンネルに「直接の関係ない」 なぜザ・シネマ4Kだけが対象なのか”. J-CASTニュース (2021年3月12日). 2021年3月26日閲覧。
  20. ^ 東北新社の外資規制違反による衛星放送事業認定取り消しについて - 愛媛CATV 2021年3月13日
  21. ^ 『ザ・シネマ4K』終了に関するお知らせ”. JCOM株式会社 (2022年12月20日). 2022年12月28日閲覧。
  22. ^ thecinema_chのツイート(1443810658294763520)






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