カネゴン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/25 19:44 UTC 版)
カネゴン | |
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ウルトラシリーズのキャラクター | |
東京都の祖師谷商店街のカネゴン像 | |
初登場 | 『ウルトラQ』第15話 |
作者 |
成田亨(デザイン) 山田正弘(脚本) |
声 |
麻生みつ子(『Q』) 福圓美里(『Z』) |
『ウルトラQ』の登場怪獣中、最も知名度が高いとされる[1]。
概要
硬貨や紙幣を主食としている。全身は銅貨のように赤光りした鎧をまとったような姿形(火星人と形容される[1][2])で、太く短い尻尾の先端は尖っている。
金入れのような頭部は一見するとカエルやアンコウのようで、口はジッパーの歯が付いたがま口で大きな舌があり、その下にはそばかす状の黒い粒々模様がある。頭にあるとげは相手に馬鹿にされないように強く見せるもので、目はお金の方を向いて細長く2本飛び出しており、垂れてぎらついた眼球からは感情が高ぶると涙がこぼれ落ち、怒ると煙を噴出する。10キロメートル先まで見える視力を持っており、額の大きい金はさらによく見える。左胸にはレジスターが付いており、その中身のコイン選別腸[3]によってコインの本物と偽物を見分けることができ、腸の鑑定液による分別を経て、本物のコインから金属エネルギーを吸い取る。それと同時に鑑定神経の作用でレジスターを動かし、食べた本物のコインの量に伴ってレジスターの数値が上がり、カネゴンの活動エネルギーに変換される。偽物のコインは選り分けられ、選別腸のそばにある分解臓ではねられながら分解される。本物のコインは腹部のコイン袋に貯蔵され、10円硬貨ならば1千万枚貯めることができる[3][注釈 1]。足の甲には2つのボンボンがあり、地面を踏むたびに光りだす。
『ウルトラQ』に登場するカネゴン
カネゴン KANEGON[出典 1] | |
---|---|
別名 | コイン怪獣 |
身長 | 2 m[出典 2] |
体重 | 200 kg[出典 2] |
出身地 |
『ウルトラQ』第15話「カネゴンの繭」に登場。
金に汚い性格である拝金主義の金の亡者[注釈 2]であるガキ大将・加根田金男が、偶然拾った30円くらいの硬貨の音がする不思議な繭に引き込まれ、数時間かけて変異した怪獣。カネゴンとは本来、金男が繭を拾った日の晩に両親が金男に説教した際、「人の落とした金銭を横領したりすると変身してしまう守銭奴の権化」として語る空想上の存在である。両親はこのままではカネゴンになると忠告するも、金男は「そいつは頼りになりそうな動物」と一笑に伏していたが、この直後、金男は本当にカネゴンに変異し始めてしまう。恐怖と興奮の頂点の中で一晩かけて変異し、翌朝、夜明けと共に誕生したカネゴンは驚いた両親を背に家を飛び出し、友人たちを巻き込んで騒動を引き起こす。
性格は少年の時とうって変わって気が弱く、変異前はガキ大将として子供たちのリーダーに君臨していたが、変異後は子供たちのグループ内で一番の下っ端になってしまう。
主食は硬貨とお札。1日に必要な額は3,520円[3]。左胸のレジスターのカウンターに体内の金額が表示され、それがゼロになると死亡するので金を食べ続けるが、カネゴンに与えて金がなくなった友人たち(彼らもかなり金に意地汚い)に売られそうになって逃げ出し、ついに銀行の金を食べるに至る。騒動の末、祈祷師から子供たちの天敵である造成地工事の責任者(ヒゲオヤジ)を逆立ちさせれば元の人間に戻れるというかなり無茶な予言を受けて実行したところ、カネゴンは尻から火を噴くロケットと化して飛び去って行き、上空からパラシュートと共に元の姿に戻った金男が降りて来る[注釈 3]。しかし、喜び勇んで帰宅した金男は、両親の異変に驚愕する。カネゴンが数時間前に銀行で食べ残した小銭をネコババしていた金男の両親は2人ともカネゴンと化しており、金男は照れ笑い合う両親の姿に呆れ果てるばかりであった。
- スーツアクター:中村晴吉[5][7]
- 演(加根田金男):辻沢敏、声:麻生みつ子
- デザインは成田亨[14][15]、造形者は高山良策[7][16]。デザインイメージは「欲望の権化」[17]。頭部はがま口から発想を得たほか、胴体は妊婦をモデルとしている[出典 4]。全身の肌と上から見た頭部は巻貝のような意匠で整えられており[14][15]、成田は頭部とのバランスを考慮して腹と尾を突き出したことを述べている[16]。成形はラテックスで全身原型の型起こしによるものであり[20]、コインを掴むために指はスーツアクターの指がそのまま使われている[21]。
- 脚本を担当した山田正弘は、当時小学5年生であった息子が算数は苦手であったが金銭の計算には長けていることに着想を得て、本話を執筆した[出典 5]。また、監督の中川晴之助は、当時の風潮であった拝金主義に対する風刺であると説明している[13]。
- 繭は、もともと金男が持っていたカネゴンへの変身能力を引き出すための鍵だと言われている[注釈 4]。当時の少年誌『ぼくら』昭和41年5月号に掲載された絵物語では、繭は宇宙人が金男を諌めるために送ったとされている。さらに、4月号に掲載された特集では、繭は金にがめつい人間にしか反応しないと説明されている。
- 『TBSコミックス』昭和42年11月号(創刊号)に掲載された鬼童譲二著の漫画版では、基本的ストーリーは同じだが、ページの制約上(全16ページ)本作品の特徴であるシュールな演出はかなり控えられている。漫画版のカネゴンは頭部のトゲは控えめで代わりに目を強調した感じで、尻尾は長く、身体全体が丸みを帯びたデザインになっている。カネゴンから人間に戻るシーンは、空中でボムッとカネゴンが爆発した後からパラシュートを着けた金男が現れる演出である。
- 月刊漫画雑誌『ぼくら』(講談社)には、1969年5月号[24]から10月号[25]まで本話の続編『ジャラゴンの大冒険』(原作:山田正弘、作画:ヨシダ忠)が連載された(主人公は引き続き加根田金男。人間に戻っても守銭奴ぶりが治らない金男が今度は怪獣ジャラゴンに変身してしまい、かつてジャラゴンに敗れた銭形平次を先祖に持つ刑事に追われる身となる)が、掲載誌の休刊を経て未完に終わった。
- 「ガラモンの逆襲」のセットで撮影された特写会のスチール写真(東京タワーをはさみ、ペギラ、パゴス、カネゴン、ゴーガが集合)が存在している。
- カラーライズ版『総天然色ウルトラQ』では、放送当時のイベント写真や劇中の「銅貨のように赤光りして」というセリフをもとに、体色は赤い銅色で仕上げられた[8][3]。
- 本話は、佐原健二らレギュラー陣がまったく登場しない唯一のエピソードである。また、オープニングテーマ曲と石坂浩二のナレーションが使われないのは、同じく中川の監督エピソード「育てよ!カメ」に続き、放映順でともに2回目である。
- 『ウルトラQ』は劇場映画用と同じ35mmフィルムで撮影していたが、中川は16mmの調子でカメラを回し続け、他の監督から「フィルム喰いのハルゴン」とあだ名を付けられた[26]。
- 本話は作家・演出家の鴻上尚史に「カネゴンの存在が自然に受け入れられているストーリーは画期的で素晴らしく、お金に執着するのはやめようと思った」との旨で評されているほか、「凄く不条理な世界であるが、いわゆる説教話に収まらない、当時の不条理文学の世界に通じるものがある」との旨を述べられている[19]。また、経済アナリストの森永卓郎にも「私の金融観を作ったといっても良く、お金はこういうものだと教えてくれた」との旨で評されているほか、「カネゴンがお金を食べると胸のカウンターが増えるのが本当に衝撃的で、お金中毒者や金融資本主義は駄目だと子供の時にすり込まれた」との旨を述べられている[19]。
『ウルトラマンZ』に登場するカネゴン
カネゴン KANEGON[27] | |
---|---|
別名 | コイン怪獣 |
身長 | 2 m[出典 6] |
体重 | 200 kg[出典 6] |
出身地 | 不明[27][29] |
『ウルトラマンZ』第13話「メダルいただきます!」に登場。
無邪気な性格。空腹になると死にはしないが動けなくなる。ストレイジ本部にて当直中だったナツカワハルキのもとへ突如出現し、ウルトラメダルをお金と誤認して食べてしまう[出典 7]。その際にウルトラマンゼットの戦いの記憶を読み取ったうえ、各形態の話題を挙げるたびにその変身に必要なメダルが反応し、くしゃみによって排出するようになったため、ハルキからゼットについての話を聞かされ続けた結果、ゼットのファンになる[29][注釈 5]。減り続けるメーターや隊員たちとの遭遇の危機をハルキの奮闘で回避しながら最終的にはメダルをすべて吐き出し、ハルキに別れを告げて本部から立ち去っていった。
- 声:福圓美里[28]
- スーツアクター:横尾和則[28]
- 本作品のキーアイテムがメダルであったため、カネゴンを出すこととなり、「カネゴンがメダルを食べて焼失する話」という事件性のあるドラマとなった[31]。
- 口の中をユカが覗き込むシーンは、スーツの頭を外した口の中にGoProを突っ込んで撮影している[31]。
- 第13話は、ニュージェネレーションヒーローズシリーズのチーフ助監督を務めてきた内田直之の初監督作品でもある[32]。カネゴンの登場は内田のこだわりによるものであり、メイン監督の田口清隆に「恒例の総集編13話を、絶対ただの総集編にはしないという熱意が伝わる素敵な回でした」と評されている[33]。
- オオタユカ役の黒木ひかりとは本編での共演が果たされなかったが、2020年11月4日に発売された漫画雑誌『別冊ヤングチャンピオン』12月号では表紙とグラビア、撮影メイキングムービー(付録DVDに収録)を共に飾っており、「モデルとの共演で漫画雑誌の表紙を飾るのは53年ぶりの珍事」という旨が報じられている[34][35]。
注釈
- ^ コイン袋に貯蔵されたコインは金属エネルギーが吸い取られているのでボロボロとなって価値が無いが、カネゴンが人間に戻る時のロケットの燃料になるとされている。
- ^ 大伴昌司著の秋田書店刊『カラー版 怪獣ウルトラ図鑑』や小学館刊の『ウルトラ怪獣大図鑑』によれば、小学6年生の加根田金男(金男を演じた辻沢敏は撮影当時小学6年生)は、お使いをはじめ、どんな楽な仕事でも駄賃をもらわないと絶対に言うことを聞かなかった。また、貯金箱に貯めた金を深夜に数えては笑うほどのがめつい少年と説明されている[要ページ番号]。
- ^ この場面の音楽は第15話のメインミュージックが使用されているが、オリジナル脚本のこのシーンのイメージに会わせた未使用曲が作曲され、ピアノとヴァイオリンが変身シーンの曲とは正反対に優しくゆったりとした感じながらも、星がゆっくりと降ってくるような不思議なイメージを表現している曲である。
- ^ 実際、金男の両親は銀行でカネゴンが落とした硬貨を盗んで自らの力で変身する。
- ^ それに前後し、ハルキによる掃除機やヨガでのメダルの排出が試みられたが、すべて失敗に終わっている。なお、ベータスマッシュの話題の際には「赤いアイツ」と呼び、当初は恐怖心を異様に抱いていた[28][29]。
- ^ 書籍『ウルトラマン大辞典』ではこちらの設定で記述している[45]。
- ^ 劇中では古代エジプト文明時代に財宝にうるさい子供の王女がカネゴンヌの壺の力で変身し、ハナエの父親は若いころ、エジプトに放浪中にカネゴンヌの壺を偶然手にしたとされる。
- ^ 映画の絵コンテの段階では、ウルトラマンゼロの特訓を見守り、ゼロに助けられる役割が予定されていたが、ピグモンに変わられている。[要出典]
出典
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- ^ a b c 総天然色ウルトラQ公式ガイドブック 2012, pp. 132–133, 取材・執筆 幕田けいた「第15話「カネゴンの繭」加根田金男役 辻沢敏」
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- ^ 伝説の怪獣人気投票 - ウルトラマンマックス(中部日本放送)
- ^ 『ファンタスティックコレクション ウルトラマンメビウス アーカイブ・ドキュメント』(朝日ソノラマ)P. 60。
- ^ ウルトラ怪獣ドラフト2010、チーム応援怪獣決定のお知らせ - bjリーグ公式ブログ
- ^ ウルトラの母が夏のヴァカンス! 父のバックハグに思わずドキッ。「アミュプラザ博多・アミュエスト」バーゲン広告にウルトラモデルと怪獣たちが登場! | 円谷ステーション - 2015年6月24日
- ^ “JRAとウルトラマンが有馬記念で再タッグ、ウェブサイト「ウルトラアリマ」公開”. BCN+R (BCN). (2020年12月7日) 2020年12月13日閲覧。
- ^ “おうちで競馬 ウルトラ怪獣”. ウルトラアリマ. 日本中央競馬会 (2020年12月7日). 2020年12月13日閲覧。
出典(リンク)
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