塩化アンチモンとは? わかりやすく解説

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塩化アンチモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/21 07:13 UTC 版)

塩化アンチモン(えんかアンチモン、antimony chloride)はアンチモン塩化物である。アンチモンの価数が異なる塩化アンチモン(III)塩化アンチモン(V) が知られている。

塩化アンチモン(III)

塩化アンチモン(III)
別名 三塩化アンチモン
組成式 SbCl3
式量 228.12 g/mol
形状 無色固体
CAS登録番号 [10025-91-9]
密度 3.140 g/cm3, 固体
融点 73.4 ℃
沸点 222.6 ℃

三塩化アンチモン(さんえんか—)とも呼ばれる。 金属アンチモンに乾いた塩素ガスを作用させると得られる。

錬金術師たちは「アンチモンのバター (butter of antimony)」と呼んでいた。常温常圧下では無色の柔らかい固体で、刺激性の悪臭を持つ。ジクロロメタン、ベンゼン、アセトンに可溶。水に触れると加水分解し、塩化水素を発生しながらオキシ塩化アンチモンとなる。

ルイス酸としての性質を示し、塩化物イオン と反応して付加体 を作る。この錯体のブチルアンモニウム塩は固体状態で、ジグザグ状に −Cl−Sb−Cl−Sb−構造が連なった構造をとる[1]

ビタミンAや類似のカロテノイドの検出試薬として用いられ、その方法はカール・プライス反応 (Carr-Price reaction) あるいはカール・プライス試験と呼ばれる。塩化アンチモン(III) はカロテノイドと反応させると青色の錯体を形成するので、これを比色分析によって測定する。

塩化アンチモン(V)

塩化アンチモン(V)
別名 五塩化アンチモン
組成式 SbCl5
式量 299.03 g/mol
形状 無色または黄色の液体
CAS登録番号 [7647-18-9]
密度 2.36 g/cm3, 液体 (25 ℃)
融点 2.8 ℃
沸点 92 ℃/30 mmHg

他の言語

五塩化アンチモン(ごえんか—)とも呼ばれる。 塩化アンチモン(III) の融解したものの中に、塩素ガスを通じて得られる。

全く純粋なものは無色であるが、普通はわずかに黄味を帯びている。腐食性が強く、湿った空気中では発煙する。水と激しく反応し、加水分解して塩酸を含む強酸性の水溶液を与えるが、少量は塩化アンチモン(V) のまま溶質となる。塩酸や塩化物イオンを含む溶液に溶けやすく、以下に示す反応によって錯イオンを形成する。

常圧のもとで熱すると、140°Cで沸騰を始めるとともに、塩化アンチモン(III) と塩素に分解してしまう。

塩化アンチモン(V) は、他のものに対して塩素を与える性質があり、有機化学において、しばしば塩素化剤として用いられている。

参考文献

  1. ^ Zarychta, B.; Zaleski, J. "Phase transitions mechanism and distortion of SbCl63− octahedra in bis(n-butylammonium) pentachloroantimonate(III) (C4H9NH3)2[SbCl5]". Z. Naturforsch. B 2006, 61, 1101–1109. Abstract (PDF)

関連項目


塩化アンチモン(III)

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「塩化アンチモン」の記事における「塩化アンチモン(III)」の解説

塩化アンチモン(III)別名 三塩化アンチモン 組成式 SbCl3 式量 228.12 g/mol 形状 無色固体 CAS登録番号 [10025-91-9] 密度と相 3.140 g/cm3, 固体 融点 73.4 沸点 222.6 三塩化アンチモンさんえんか—)とも呼ばれる金属アンチモン乾いた塩素ガス作用させる得られる。 2 Sb   + 3 Cl 2 ⟶ 2 SbCl 3 {\displaystyle {\ce {2Sb\ +3Cl2->2SbCl3}}} SbCl 3   + H 2 O ⟶ SbOCl   + 2 HCl {\displaystyle {\ce {SbCl3\ +H2O->SbOCl\ +2HCl}}} ルイス酸としての性質示し塩化物イオン Cl − {\displaystyle {\ce {Cl^{-}}}} と反応して付加体 [ SbCl 5 ] 2 − {\displaystyle {\ce {[SbCl5]^{2-}}}} を作る。この錯体ブチルアンモニウム塩は固体状態で、ジグザグ状に −ClSbClSb構造連なった構造をとる。 ビタミンA類似のカロテノイド検出試薬として用いられその方法はカール・プライス反応 (Carr-Price reaction) あるいはカール・プライス試験呼ばれる。塩化アンチモン(III) はカロテノイド反応させる青色錯体形成するので、これを比色分析によって測定する

※この「塩化アンチモン(III)」の解説は、「塩化アンチモン」の解説の一部です。
「塩化アンチモン(III)」を含む「塩化アンチモン」の記事については、「塩化アンチモン」の概要を参照ください。

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