von Zeipel による20世紀初頭における発見
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「古在メカニズム」の記事における「von Zeipel による20世紀初頭における発見」の解説
2019年に出版された国立天文台の伊藤孝士と東京流星観測網の大塚勝仁による古在機構に関する過去の研究の包括的なサーベイでは、1960年代のリドフと古在によるこのメカニズムの発見よりも60年以上前に、スウェーデンの天文学者 Edvard Hugo von Zeipel が同様の理論的枠組みを見出していたことが「再発見」された。 このサーベイ研究によれば、von Zeipel は1898年の論文で三体問題についての研究を行っており、その中で制限三体問題は極端なケースとして取り扱われていた。この論文は「Sur la forme gén ́erale des éléments elliptiques dans le problème des trois corps」というタイトルでフランス語で書かれており、『Bihang till Kongl Svenska Vetenskaps–Akademiens Handlingar』という学術誌で発表された。また1901年にも同じ学術誌上でさらに論文を発表している。これらの論文では1960年代初頭のリドフと古在の研究より60年以上も前に、古在機構を理解する上で必要な基本的かつ重要な定式化が述べられており、20世紀初頭の段階で既に von Zeipel が古在機構の理論的枠組みを見出していたことが分かる。そのため伊藤らは、このメカニズムは von Zeipel–Lidov–Kozai mechanism と表記されるべきであるとの提案を行っている。 なお、先述の Tremaine と Yavetz による2014年の論文では、 Although Laplace had all of the tools needed to investigate this phenomenon, it was only discovered in the early 1960s by Lidov in the Soviet Union and brought to the West by Kozai — Scott Tremaine、Tomer D. Yavetz、Why do Earth satellites stay up? と述べられており、さらに早い時期にピエール=シモン・ラプラスがこの機構についての理論的枠組みを把握していたとの見解を示しているが、その詳細は述べられておらず不明である。
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