t検定の代替手段
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 00:28 UTC 版)
t検定は、母集団が正規分布をしており標本の分散がχ2 分布をしているという前提の下において、「完全に」正確な確率を計算することができる(ウェルチ検定では「ほぼ」正確な値を計算できる)。逆の言い方をすると、母集団が正規分布に従っていない場合は、標本平均はt値からは多かれ少なかれ乖離する。実務的に標本から母集団が正規分布をしているかどうかという事を判断する事は、色々な検定方法があるとは言うものの、非常に困難である。ただし、中心極限定理によると、母集団の分布が正規分布に従わない標本でさえも、標本サイズが大きくなればなるほど、標本平均は正規分布に近似していく。したがって、標本サイズが大きければ大きいほど、標準検定値である X ¯ σ n {\displaystyle {\frac {\bar {X}}{\frac {\sigma }{\sqrt {n}}}}} はZ値に近似することになる。このような基礎に基づくと、母集団が正規分布から完全に逸脱した分布に従っていて、標本サイズが十分に大きな場合(大学の初等の統計の教科書などではn>30などと載っている場合があるが、勿論多ければ多いほど良い)、Z検定で近似的な確率を計算できる。ただしt値は自由度が上がるとZ値に近似するため、計算上はt検定を用いても殆ど大差ない結果を得られる(哲学的には異なるが)。それがt検定が頑強(robust)であると言われる所以である。
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