セルフアライニングトルク
タイヤが横滑りをしているときに発生するモーメントのうち、鉛直軸まわりのモーメントをいう。SATと略称する。SATは、コーナリングフォースの着力点がタイヤ中心の真下より後方にあり、これがモーメントアーム(ニューマチックトレール)となって横滑り角を解消し、直進状態にもどろうとする方向に働く。スリップ角に対して直線的に増加するが、比較的小さい角度(4~5度程度)でピークに達し、以後、急減する。これは横滑り角の増加に対してニューマチックトレールが急減するためである。また、旋回中にドリフトオーバーすると、保舵力がなくなるように感じるのはこの特性による。SATの横滑り角に対する立ち上がり勾配は、セルフアライニングトルクスティフネスという。
セルフアライニングトルク
(self-aligning torque から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 04:20 UTC 版)
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セルフアライニングトルク(英語: self aligning torque、略称SAT 、記号Mz)は、タイヤが転がるときに発生するトルクで、タイヤを垂直軸の周りに回転させる性質がある。スリップ角が0でない場合、このトルクはタイヤが進行している方向に向く傾向があり、このことからこの名前が付けられた[1][2]。
このトルクの大きさは、接地面によって生み出される横力と力が作用する車輪中心後方の距離の積として計算することができる。この距離はニューマチックトレールと呼ばれる。ゼロでない機械的トレールを持つ非垂直ステア軸の周りのステアリングトルクは、以下の式で与えられる。
- (トレール + ニューマチックトレール) · cos(キャスタ角) · Fy
スリップ角やキャンバ角がゼロで路面が平坦であったとしても、タイヤの構造の非対称性や、接地面の形状や圧力分布の非対称性により、このトルクが発生する。一般に市販のタイヤでは、このトルクはスリップ角2〜4度で最大となり(この数値は多くの変数に依存する)、タイヤが最大側方力性能に達するとゼロになる。
脚注
- ^ Hans Pacejka (2005). Tyre and Vehicle Dynamics. Elsevier. p. 113. ISBN 9780080543338 2018年4月6日閲覧. "The self-aligning torque now reads: Mz = ..."
- ^ Vittore Cossalter (2006). Motorcycle Dynamics. Lulu. p. 59. ISBN 9781430308614 2018年4月6日閲覧. "generates a moment that tends to rotate the tire in such a way as to diminish the slip angle. For this reason this moment is called the self-aligning moment."
参考文献
- Milliken and Milliken "Race Car Vehicle Dynamics" Chapter 2
関連項目
- 車両の運動力学
- self-aligning torqueのページへのリンク