磁化曲線 【magnetic hysteresis curve;magnetic hysteresis loop】
磁性体を磁化する場合、加える磁界Hとそれによる磁化の強さBとの間の関係は、付図のような曲線を描くが、これを磁性体の磁化曲線という。横軸に磁化力(磁界)H(コイルに流す電流によって決まる)縦軸に磁性体の磁化の強さ(磁束密度)Bをとり、コイルに直流電流を流し徐々に増していくと、横軸の磁界Hは磁気中性点Oより+H方向に大きくなり、それと同時に磁界中(録音ヘッドのギャップ部分)に置かれた磁性体(磁気テープ)はO→a→b→cの順に磁化が強くなり、c点で飽和する。
ここで大切なことは、c点より、逆に磁界Hを減らしていくと、同じ経路をたどらないでc→dとなり、磁界Hをゼロにしても磁性体はBmという磁化が残ることである。この残留磁化Bmをなくすには、さらに逆方向の磁界−Hを加えてやる必要がある。つまり逆方向の磁界を増加させるに従って、磁化曲線はd→eをたどる。このe点で磁性体の残留磁化Bはゼロになる。この点における磁界の大きさを、その磁性体の保磁力Hcと呼ぶ。さらに逆方向の磁界を増加し続けるとe→fとなり、f点において逆極性で飽和する。このf点から逆方向の磁界を減らし、正方向の磁界を増していくと磁化曲線はf→g→h→cの経路をたどる。
これで1つのループが完成するため、これをヒステリシス・ループと呼ぶ。
また、磁化強さBを飽和レベルにまでもっていかなくても、途中の任意のどの点で磁界を反転させても小さなループ(h→h)を描く。
【参】付図−27
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