フィルム・コミッション
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フィルム・コミッション(Film Commission、略称:FC)とは、地域活性化を目的として、映像作品のロケーション撮影が円滑に行われるための支援を行う公的団体である[1]。具体的にはロケ撮影に際して、映像制作者と地域社会(自治体、施設所有者など)との間にフィルム・コミッションが入り、各種連絡・交渉などの調整係の役割を果たす[2]。映像作品は撮影時や上映による経済効果が大きいため、フィルム・コミッションが映像作品の誘致活動などを積極的に行うこともある。
注釈
- ^ 宇宙を舞台としたコメディ映画『ギャラクシー街道』(2015年、三谷幸喜監督)[9]。実写作品ではあるが、舞台が宇宙となっており、全編がセット撮影とアニメーションの組み合わせで、ロケは実施されなかった。そのため、そもそもフィルム・コミッションの支援を受ける必要がなかったという、若干特殊な作品である。
- ^ 施設利用料等は除く。
- ^ a b c 北九州フィルムコミッションも自らを「日本初のフィルム・コミッション」と謳っているが[12]、組織として設立されたのは大阪のほうが7ヶ月早い。
- ^ a b 日本の関係の所管機関(警察など)に申請しない状態で、路上などの施設で撮影を行うこと。
- ^ 大阪を舞台とした映画『ブラック・レイン』が1989年公開である。北九州市の映像支援の取り組みは、偶然にも『ブラック・レイン』の大阪ロケでフィルム・コミッションの不在により様々なトラブルが起きたのとほぼ同時期に開始されたことになる。
- ^ IMDBの撮影地情報ならびにDVD・ブルーレイ収録情報による。
- ^ 日本語字幕は誤って「契約は2ヶ月間だ」と訳されているが、英語ではリドリー・スコットが「We had a deal for this with two months」と語っており、「市場における2日間の撮影期間を確保するための交渉に2ヶ月間もかけたのに、その条件を市場側に反故にされて、2日間の撮影期間を1日間に短縮された」というのが正しい日本語訳である。ハリウッド制作側の怒りは、妥当な理由も明示せずに後付で一方的に撮影条件を変更した挙げ句に、撮影の延長のために法外な保証金を要求した大阪の市場の態度に対するものである。
- ^ リドリー・スコットは日本文化に関心が高く、日本人の女性メイドまで雇用していた[27]。リドリー・スコットが監督を務めたSF映画『ブレードランナー』(1982年)に、日本をモチーフにした近未来像が多数出現するのは、このためである。
- ^ 『ブラック・レイン』では、これらの交渉を全てハリウッド側のスタッフが個別に行った結果、様々なトラブルが発生したと見られる。『ブラック・レイン』DVD・ブルーレイのリドリー・スコットのオーディオコメンタリーでは、プロデューサーのスタンリー・R・ジャッフェが大阪市中央卸売市場側の対応に激怒したことが説明されている。
- ^ 石原慎太郎の指摘[7]が、まさにこのことを指している。
- ^ この問題は、『ブラック・レイン』の撮影時に大阪市中央卸売市場とのトラブルが発生した1988年からそれほど変わっていない。
- ^ 近年、中国、インド、タイ、フィリピンなど、これまで想定されなかった国が日本ロケを行うことが増えている。これらの国の作品は、全世界での上映を前提としているアメリカのハリウッド作品とは異なり、著作権や配給会社などの関係で、日本ではソフトが配給されないケースが多い。
- ^ 補助金額は『僕はチャイナタウンの名探偵3』が4800万円、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』が9600万円(いずれも消費税別)[31]。
- ^ 日本におけるフィルム・コミッション組織化のさきがけであり、1989年に北九州フィルムコミッションの前身である「北九州市広報室イメージアップ班」を日本で最初に設立した[12]。
出典
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「film commission」の例文・使い方・用例・文例
- (違法罪―a sin of commission―に対する)怠惰罪
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