【オートジャイロ】(おーとじゃいろ)
autogiro / autogyro
回転翼機のうち、ローターを抗力によって回転させて飛行するもの。
「ジャイロコプター」「ジャイロプレーン」などとも呼ばれる。
ローターを持っているものの、速度エネルギーがないと揚力が生まれない点は固定翼機と同じである。
このため、プロペラなどで推力を得、滑走路から離着陸する必要がある。
この、抗力によってローターを回転させる作用をオートローテーションと呼ぶ。
当初は飛行機よりもSTOL性に優れていたため注目され、短距離の航空郵便や観測機などの用途で活躍した。
しかしヘリコプターのようなホバリングはできず、また飛行機に比べて速度やペイロードも劣るうえ、飛行機のSTOL性も向上したためメリットは薄れてしまい、現在はほとんど使われていない。
ただし機構が単純で、フレームアウト時にもオートローテーションで軟着陸できるため、比較的安全かつ手軽な航空機であり、スポーツ用途では現在でも人気がある。
また、飛行機にオートジャイロと同様の空転式ローターを組み合わせた機体も研究されているという。
オートジャイロ
(autogyro から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 07:28 UTC 版)
オートジャイロ(autogyro / autogiro)とは、前進することによる風の力で回転翼を回転させて揚力を得る航空機をいう。ヘリコプターやフェアリー ロートダインと同じく回転翼機に分類されるが、回転翼はフリーになっており前方からの風で風車のように回転するだけで基本的に動力は繋がっていない。そのため垂直離陸やホバリングはできないが、ジャンプ・テイクオフが可能な機体もある。離着陸は非常にVTOLに近いSTOL機であり、強い向かい風など気象条件がそろえばほぼヘリコプターと同様の垂直離着陸も可能である。
- ^ ジャイロの英語表記はgyroであるものの、発明者が造語のgiroで商標登録をすませたため、こういった表記になった。
- ^ シエルバはその後、イギリスでシェルバ社を設立し、多くの成功機を生み出した。日本でも朝日新聞社がシエルバ社のオートジャイロを購入し、「空中新道中膝栗毛」というコーナーを連載した。イギリスのアヴロ社やアメリカ合衆国のケレット社などで開発が続けられたが、市場は収束の方向に向かい、ヘリコプターなどの生産に移った。
- ^ オートジャイロの回転翼の付け根には蝶番がついており、回転中の揚力の急な変化や揚力のムラを防ぐことにより、安定した飛行が実現されている。発明されてすぐのころは補助翼、方向舵、昇降舵の三舵で制御されていた。しかし現在は翼の回転面を左右に傾けることによって旋回をし、回転面の迎え角を増減させることによって上昇と降下を行い、方向舵によって方向を変更するという独特の制御方法を用いる機体が多い。
- ^ (日本語) EXTREME Gyrocopter Aerobatics 2019年12月22日閲覧。
- ^ 実際、萱場工業の「ヘリプレーン1型」のように回転翼の先端にラムジェット等をつけ垂直離着陸できる商用機も計画された。
- ^ 鶴本勝夫「東北学院理工系教育機関の系譜とその人脈 =押川方義の創立理念= 「東北をして日本のスコットランドたらしめん」が底流に」(PDF)『東北学院資料室』第16号、東北学院、2012年4月1日、21頁、2012年6月25日閲覧。
- ^ 当時から長大な滑走路を必要とする飛行機の不便さは認識されていた。例えば、昭和18年(1943年)三月の第八十三帝国議会予算委員会で、東条英機首相兼陸相は、”航空機増産計画はどうなっているか、また新兵器開発状況はどうなっているか?”という質問に対して次のように回答している。
渋谷(1972) はじめに「飛行機と申すものは、長大な滑走路と広い飛行場とを必要とするものでありまして、飛ぶにも降りるにもこれを絶対に不可欠のものとしておるのが今日の飛行機であります。また空中活動にいたしましても操縦士の意の如く自由に方向を変えるというわけにはまいりません。また好む場所に好むとき舞い降りることも不可能でありまして、考えてみますと、文明の利器とは申せまことに不自由なものと言わざるを得ません。鳥やコウモリは滑走路も飛行機も必要とせず、好きなとき好きな方向に空中転換が出来、また好きな場所に舞い降りることができる。かような飛行機が出来ないものかと考えている次第であります。」
- 1 オートジャイロとは
- 2 オートジャイロの概要
- 3 概要
- 4 関連項目
- 5 脚注
- autogyroのページへのリンク