WISPIT 2とは? わかりやすく解説

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WISPIT 2

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/16 06:18 UTC 版)

WISPIT 2
VLT SPHEREで観測したWISPIT 2の周囲の星周円盤原始惑星WISPIT 2bは、円盤の右下にある隙間の中に位置している。
クレジット: ESO/R. F. van Capelleveen et al.
星座 わし座[注 1]
見かけの等級 (mv) 11.197±0.01[1]
分類 前主系列星[2]
位置
元期:J2000[1]
赤経 (RA, α)  19h 23m 17.0332237176s[1]
赤緯 (Dec, δ) −07° 40′ 55.075695024″[1]
視線速度 (Rv) −16.23±14.58 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 6.308 ミリ秒/[1]
赤緯: -27.138 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 7.4649 ± 0.0214ミリ秒[1]
(誤差0.3%)
距離 437 ± 1 光年[注 2]
(134 ± 0.4 パーセク[注 2]
軌道要素と性質
惑星の数 1(確認済み)
物理的性質
半径 1.418±0.004 R[2]
質量 1.08+0.06
−0.17
M[2]
表面重力 (logg) 4.00±0.25[2]
自転周期 4.7004 日[2]
光度 0.699±0.021 L[2]
表面温度 4400±50 K[2]
年齢 510+240
−130
万年[2]
他のカタログでの名称
TIC 98898373TYC 5709-354-1IRAS 19205-07462MASS J19231702-0740550WISE J192317.04-074055.2[1]
Template (ノート 解説) ■Project

WISPIT 2TYC 5709-354-1とも呼称される)とは、地球から見てわし座の方向にある前主系列星である。さそり–ケンタウルス座アソシエーションの一部で、おそらくTheia 53に属しているとされる。WISPIT 2の周囲には直接撮影によって複数のリングを持つ星周円盤が存在していることが明らかになっており、リングの隙間の1つには原始惑星が1つ公転していることが知られている[2]。この原始惑星はHα線でも検出されており、星周円盤に囲まれていることが示されている[3]

星周円盤

WISPIT 2の周囲の星周円盤は遷移円盤に分類され、内部に空洞があることを示している[3]。円盤には4つのリングと、68 auのところに1つの顕著な隙間がある。最も外側のリングはWISPIT 2から316 au離れた場所に位置し、円盤はWISPIT 2から2.8秒角(380 au)の距離まで検出された。円盤の軌道傾斜角は約44°から46°である[2]

惑星系

VLT SPHERE[2]マゼラン MagAO-X、LBT/LMIRcamによる観測で、円盤の3つの隙間のうち1つに惑星 WISPIT 2b が存在することが明らかになった[3]。WISPIT 2bは主星とともに移動していることが確認され、2023年10月から2025年4月にかけて撮影された画像において軌道運動が見られる。WISPIT 2bの質量は約5 MJで、円盤内部の隙間を形成した要因となっている[2]。WISPIT 2bはHα線でも検出されており、星周円盤から物質を集積していることが示唆されている。このことから、WISPIT 2bはPDS 70系の惑星や、2MJ1612b、そしておそらくLkCa 15bと類似していると考えられている[3]

LBT/LMIRcamで観測されたWISPIT 2原始惑星系の熱赤外線画像。クレジット: Laird Close & Gabriel Weible(アリゾナ大学

さらにもう1つ、WISPIT 2bより内側を公転する惑星候補(CC1)が検出されたが、この惑星候補は塵の塊である可能性もあり、惑星であると確認するにはさらなる観測が必要である[3]

WISPIT 2の惑星[2][3]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
CC1 (候補) 9±4 MJ 15
リング3 38.44±0.09 au 44.95±0.39°
b 5.3±1.0 MJ 57.5 1.6±0.2 RJ
隙間3 69.0±0.6 au 44.2±0.8°
リング2 96.7±0.6 au 41.8±0.6°
リング1 163.6±2.9 au 45.4±1.1°
リング0 316.4±4.5 au 43.6±1.5°

脚注

注釈

  1. ^ このウェブサイト赤経赤緯[1]から導出
  2. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j “TYC 5709-354-1”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2025年9月16日閲覧.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m van Capelleveen, Richelle F.; Ginski, Christian; Kenworthy, Matthew A.; Byrne, Jake; Lawlor, Chloe; McLachlan, Dan; Mamajek, Eric E.; Stolker, Tomas et al. (2025-08-26). “WIde Separation Planets In Time (WISPIT): A Gap-clearing Planet in a Multi-ringed Disk around the Young Solar-type Star WISPIT 2”. The Astrophysical Journal Letters 990 (1): L8. doi:10.3847/2041-8213/adf721. ISSN 2041-8205. 
  3. ^ a b c d e f Close, Laird M.; van Capelleveen, Richelle F.; Weible, Gabriel; Wagner, Kevin; Haffert, Sebastiaan Y.; Males, Jared R.; Ilyin, Ilya; Kenworthy, Matthew A. et al. (2025-08-26). “Wide Separation Planets in Time (WISPIT): Discovery of a Gap Hα Protoplanet WISPIT 2b with MagAO-X”. The Astrophysical Journal Letters 990 (1): L9. doi:10.3847/2041-8213/adf7a5. ISSN 2041-8205. 

関連項目




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