ウルシオール
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ウルシオール (Urushiol) はウルシ科の植物、特にウルシ属に多く含まれている物質である。1917年、真島利行が主成分であることを確認、構造決定し、三山喜三郎が命名した。
解説
ウルシオールはウルシ科の多くの植物に含まれ、カシューナッツの殻やマンゴーの果実の皮にも見られる。触れると皮膚に発疹を生じることがある。語源は日本語の漆である。湿潤な環境の下で樹液が酸化、重合すると粘度の高い液体となり、伝統的な漆器の製造に用いられる。20世紀初頭には、ウルシオールの化学反応によって漆の固化が生じることが明らかにされた[1]。精製していない茶色の生漆であっても鉄分が入ると色が黒変するが、長年そのメカニズムは謎であったものの、2025年、原子力科学研究所の南川卓也が、黒漆には、0.3%程度のFe3+が(本来のFe3+は黄色い)入っていて、それが触媒として働いてウルシオールどうしを結合させると、光が吸収されることを解明した[2]。
ウルシオールは沸点が摂氏200 - 210度の淡黄色の粘稠な液体で、アルコールとエーテルに可溶であるが、水にはほぼ不溶である。化学的には、ウルシオールはいくつかの構造のよく似た化合物の混合物である。それぞれは15 - 17個の炭素からなるアルキル鎖が置換したカテコールである。アルキル鎖は飽和のものも不飽和のものもあり、ウルシオールにはこれらが混在している。混合物の割合は原料の種によって決まっている。例えば、Toxicodendron diversilobum (英: poison oak) のウルシオールには C17 の側鎖がついたカテコールが多く含まれるが、ポイズンアイビー(英: poison ivy; 学名: Toxicodendron radicans)や Toxicodendron vernix (英: poison sumac) のウルシオールには C15 のものが多い。触れた場合の発疹の出方は側鎖の飽和度に依存する。飽和側鎖のウルシオールでかぶれる人の割合は半分以下だが、不飽和のウルシオールでは 90 % 以上の人がかぶれる。
| R = (CH2)14CH3 R = (CH2)7CH=CH(CH2)5CH3 R = (CH2)7CH=CHCH2CH=CH(CH2)2CH3 R = (CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH=CHCH3 R = (CH2)7CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2 他 |
ウルシオールに似た物質
- ラッコール (laccol) - ツタウルシの葉などに含まれる。
- チチオール (thitsiol) - タイ・ミャンマー産の漆(ビルマウルシ; 学名: Gluta usitata; ビルマ語: သစ်စေး、IPA: /sɪʔsí~t̪ɪʔsí/[3] スィッスィーあるいはティッスィー; 西欧の文献における慣用表記: thitsi)に多く含まれる。
- マンゴール マンゴーに含まれる。
- カルドール 同上。
脚注
- ^ 山本勝巳『漆百科』丸善 p.1
- ^ “108 「漆はなぜ黒くなるのか」解明”. 日本原子力研究開発機構. 2025年1月4日閲覧。
- ^ 大野, 徹『ビルマ(ミャンマー)語辞典』大学書林、2000年、734頁。ISBN 4-475-00145-5。
関連項目
- Urushiolのページへのリンク