U46 (潜水艦・2代)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > U46 (潜水艦・2代)の意味・解説 

U46 (潜水艦・2代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/10 05:14 UTC 版)

U-46
U-52、典型的なVIIB型Uボート
基本情報
建造所 ゲルマニア造船所、キール
運用者  ドイツ国防軍海軍
艦種 潜水艦
級名 UボートVIIB型
建造費 4,439,000 ライヒスマルク
艦歴
発注 1936年11月21日
起工 1937年2月24日
進水 1938年9月10日
就役 1938年11月2日
最期 1945年5月5日自沈
除籍 1943年10月
要目
基準排水量 753t
水中排水量 857t
全長 66.5m(耐圧殻48.8m)
最大幅 6.2m(耐圧殻4.7m)
吃水 4.74m
主機 ディーゼルエンジン2基
電源 電動モーター
出力 2800 - 3200PS
電力 750PS
推進器 2軸
速力 水上17.9ノット、水中8ノット
航続距離 8700海里(水上10ノット)、90海里(潜航4ノット)
潜航深度 230m、圧壊深度250 - 295m
乗員 将校4名、下士官40–56名
兵装 533mm魚雷発射管(前方4門、後方1門)、魚雷14またはTMA機雷26またはTMB機雷39
8.8 cm SK C/35 艦載砲 1門
2cm対空火器
ソナー 群聴装置
テンプレートを表示

U-46第二次世界大戦中ナチス・ドイツ海軍VIIB型Uボートである。U-46は戦時中、大きな成功を収めた。

艦歴

U-46は1936年11月21日発注され、1937年2月24日にキールのフリードリヒ・クルップ・ゲルマニア造船所で起工され、ヤードナンバー581となった。U-46は1938年9月10日に進水し、同年11月2日に、最初の艦長ヘルベルト・ゾーラー少佐の指揮の下、就役した。ゾーラーはU-46が第7潜水隊群に所属している時に指揮し、U-46は前線で活動した。1939年8月19日、U-46はキールから北海へと最初の哨戒に出発し、9月15日に帰還した[1]

ゾーラーからエンドラスへの艦長の交代

1940年4月13日、ノルウェーのナルヴィク周辺での戦闘中、U-46はウォースパイトを支援するイギリス駆逐艦から爆雷攻撃を受け大破した[1]。ゾーラーはU-46の6回の哨戒を指揮したが、敵船に対して何も戦果は得られなかった。彼は1940年5月21日に艦長を解任され、翌日エンゲルベルト・エンドラスに引き継がれた。エンドラスはU-47スカパ・フローに侵入し、戦艦ロイヤル・オークを撃沈した時のギュンター・プリーンの副官としてU-47に乗艦していた。U-46は彼が艦長として指揮した初めての船である[2]

最初の成功

6月1日、エンドラスはキールを出発し、北海と大西洋を哨戒した。彼はすぐに成功を収め、6月6日、U-46は武装商船カリンシア英語版を始めて撃沈した。6月9日、エンドラスは続けフィンランド商船マルガレータを撃沈した。6月11日にはアテルプリンスに損傷を与え、その翌日にバーバラ・マリーとウィローバンクを撃沈した。6月17日、彼は最後にギリシャ船エルピスを撃沈した。U-46は31日間の航海を終えて7月1日キールに帰還した。U-46はこの間に5隻の船35,347トンを撃沈し、8,782トンの船一隻を損傷させた[1]

商船マルガレータ
潜水艦トライアド

U-46は8月にベルゲンに移動した。8月3日、U-46はイギリス潜水艦トライアド英語版に発見された。トライアドは浮上し、22時30分に102ミリ砲でU-46を攻撃した。エンドラスはトライアドに追われて潜航したが、2隻の潜水艦は互いに見失った。U-46は8月8日に再び出港した。この哨戒では大きな成功を収めた。8月16日にオランダ船アルシナスに損傷を与え、8月20日にギリシャ船レオニダス・M・ヴァルマスを雷撃した。ヴァルマスは全損となった[3]。8月27日、U-46は武装商船ダンヴェガン・キャッスル英語版を撃沈し、続けて8月31日にはヴィル・ド・ハッセルト、9月2日にはソーンレア、9月4日には中立国旗を掲げて航行するアイルランド蒸気船ルイムニアック英語版を撃沈した。

艦長たちの証言には違いがある。エンドラスは、エリック・ジョーンズ船長と彼の乗組員は、Uボートから船首への砲撃に「完全に取り乱していた」と主張した[4]。ジョーンズは熟練の船長であった。ルイムニアックはスペイン内戦中、12回の航空攻撃から生き延びていた。ルイムニアックの乗組員は船を放棄し、エンドラスは魚雷が残っていなかったため、砲撃で撃沈した。1941年3月4日の調査の後、デーニッツは、Uボートが放棄された船を沈めたことは正しい行動であったと結論づけた[5]。 U-46は、5隻の船29,883トンを撃沈し、1隻の船6,189トンに損傷を与え、9月6日にフランス大西洋沿岸のロリアンに帰還した[1]

船団の迎撃

サン・ナゼール(同フランス)から始まったU-46の次の哨戒で、7日間のみであったが9月26日に2隻の船コースト・ウィングスとシルヤンを撃沈し、計3,920トンの戦果を得た。U-46は10月13日に再び出航した。この哨戒中U-46は輸送船団SC7とHX79に対するウルフパックに参加した。10月18日、U-46はSC7のベアトゥス、コンヴァラリア、ガンボルグを、10月19日にHX79のルペラ、10月20日にジェーナスを撃沈した。10月25日、U-46はイギリス空軍第233飛行隊のロッキード・ハドソン3機の攻撃を受け、乗組員一人が致命傷を負った。U-46は22,966トンの船舶を撃沈した17日の航海を終え、10月29日にキールに入港した[1]

U-46は次の哨戒で、1941年2月12日にキールからサン・ナゼールに向かい、21日の航海を終え、3月4日に到着した。この航海中、U-46は何の攻撃も行わなかった。次の哨戒では成功を収めた。3月29日にリグリアを撃沈し、続けて3月31日にカストール、4月2日にブリティッシュ・リライアンスを撃沈した。4月3日にアルダープールに損傷を与え、U-46は帰港した。この航海で3隻の船17,465トンが沈没し、4,313トンの船1隻が損傷した。次の哨戒で6月8日にエンシスに損傷を与え、6月9日にフィディアスを撃沈した。損傷を受けたエンシスがU-46に突撃し、司令塔と潜望鏡に損傷を与えたため、哨戒は打ち切りとなった。エンドラスは7月26日から8月26日まで哨戒を行ったが、その間に船舶を攻撃することは無かった[1]

退役と自沈

9月24にエンドラスが艦長を退役した後、U-46は第26潜水隊群の訓練艦に指定された。U-46はペーター・オットマー・グラウ、コンスタンチン・フォン・プットカマー、クルト・ノイベルト、エルンスト・フォン・ヴィツェンドルフ、フランツ・ザール、ヨアヒム・クネヒト、エーリッヒ・ユヴィンスキーといった多くの艦長の指揮の元で活動し、1942年4月に第24潜水隊群に移籍した。U-46は1940年10月にノイシュタットで退役した[6]

終戦が近づき、U-46は1945年5月5日にクプフェルミューレン湾で自沈した[1]。U-46は商船20隻85,792トン、補助艦艇2隻35,284トンを撃沈し、5隻の船に損傷を与え、そのうち一隻は全損となった。

ウルフパック

U-46は2つのウルフパックに参加した。

  • レージング (1940年6月12日~15日)
  • ウェスト (1941年5月19日~6月6日)

戦果一覧

日付 船名 国籍 総トン数[Note 1] 結果[7]
1939年10月17日 シティ・オブ・マンダレー  イギリス 7,028 沈没
1939年12月21日 ルドルフ  ノルウェー 924 沈没
1940年6月6日 カリンシア  イギリス海軍 20,277 沈没
1940年6月9日 マルガレータ  フィンランド 2,155 沈没
1940年6月11日 アテルプリンス  イギリス 8,782 損傷
1940年6月12日 バーバラ・マリー  イギリス 4,223 沈没
1940年6月12日 ウィローバンク  イギリス 5,041 沈没
1940年6月17日 エルピス  ギリシャ 3,651 沈没
1940年8月16日 アルシナス  オランダ 6,189 損傷
1940年8月16日 レオニダス・M・ヴァルマス  ギリシャ 2,080 全損
1940年8月27日 ダンヴェガン・キャッスル  イギリス海軍 15,007 沈没
1940年8月31日 ヴィル・ド・ハッセルト  ベルギー 7,461 沈没
1940年9月2日 ソーンレア  イギリス 4,261 沈没
1940年9月4日 ルイムニアック  アイルランド 1,074 沈没
1940年9月26日 コースト・ウィングス  イギリス 862 沈没
1940年9月26日 シルヤン  スウェーデン 3,058 沈没
1940年10月18日 ベアトゥス英語版  イギリス 4,885 沈没
1940年10月18日 コンヴァラリア  スウェーデン 1,996 沈没
1940年10月18日 ガンボルグ  スウェーデン 1,572 沈没
1940年10月18日 ルペラ  イギリス 4,548 沈没
1940年10月20日 ジェーナス  スウェーデン 9,965 沈没
1941年3月29日 リグリア  スウェーデン 1,751 沈没
1941年3月31日 カストール  スウェーデン 8,714 沈没
1941年4月2日 ブリティッシュ・リライアンス  イギリス 7,000 沈没
1941年4月3日 アルダープール  イギリス 4,313 損傷
1941年6月8日 エンシス  イギリス 6,207 損傷
1941年6月9日 フィディアス  イギリス 5,623 沈没


脚注

注釈

  1. ^ 商船は総トン数、軍艦は排気量で記載。

引用

  1. ^ a b c d e f g Helgason, Guðmundur. “The Type VIIB boat U-46”. German U-boats of WWII - uboat.net. 2014年12月8日閲覧。
  2. ^ Busch & Röll 1999, p. 62.
  3. ^ Helgason, Guðmundur. “Leonidas M. Valmas”. German U-boats of WWII - uboat.net. 2014年12月1日閲覧。
  4. ^ Robertson, Terence (1977). Night raider of the Atlantic. Dutton. p. 85. ISBN 978-0-345-27103-7 
  5. ^ Forde, Frank (2000). The Long Watch. Dublin: New Island. pp. 66–69. ISBN 1-902602-42-0 
  6. ^ Gröner 1985, p. 84.
  7. ^ Helgason, Guðmundur. “Ships hit by U-46”. German U-boats of WWII - uboat.net. 2016年8月5日閲覧。

参考文献

  • Busch, Rainer; Röll, Hans-Joachim (1999). German U-boat commanders of World War II : a biographical dictionary. London, Annapolis, Md: Greenhill Books, Naval Institute Press. ISBN 1-55750-186-6 
  • Gröner, Erich (1985) (ドイツ語). Die deutschen Kriegsschiffe 1815–1945 / 3, U-Boote, Hilfskreuzer, Minenschiffe, Netzleger, Sperrbrecher.. Koblenz: Bernard & Graefe. ISBN 3-7637-4802-4. OCLC 310610321 
  • Gröner, Erich; Jung, Dieter; Maass, Martin (1991). German Warships 1815–1945, U-boats and Mine Warfare Vessels. 2. London: Conway Maritime Press. ISBN 0-85177-593-4 

外部リンク

  • Helgason, Guðmundur. “The Type VIIB boat U-46”. German U-boats of WWII - uboat.net. 2014年12月8日閲覧。
  • Hofmann, Markus. “U 46” (ドイツ語). Deutsche U-Boote 1935-1945 - u-boot-archiv.de. 2015年2月2日閲覧。



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  U46 (潜水艦・2代)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「U46 (潜水艦・2代)」の関連用語

1
U46 百科事典
34% |||||

2
U91 (潜水艦・2代) 百科事典
4% |||||

3
U47 (潜水艦・2代) 百科事典
4% |||||

U46 (潜水艦・2代)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



U46 (潜水艦・2代)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのU46 (潜水艦・2代) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS