Society 5.0 for SDGsとは? わかりやすく解説

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ソサエティー5.0

(Society 5.0 for SDGs から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 00:18 UTC 版)

内閣府が作成したソサエティー5.0のイメージ

Society 5.0(ソサエティー ごー てん ぜろ、: Society 5.0(英語版))は日本政府が提唱する未来社会のコンセプトである[1]科学技術基本法に基づき5年ごとに改定されている科学技術基本計画の第5期(2016年度から2020年度)でキャッチフレーズとして登場した[1]サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな未来社会を“Society 5.0”と提唱する。2021年(令和3年)版 科学技術・イノベーション白書[2]で解説動画[3]を公開している。

概要

狩猟社会 (Society 1.0)農耕社会 (Society 2.0)工業社会 (Society 3.0)情報社会 (Society 4.0) と人類がこれまで歩んできた社会に次ぐ第5の新たな社会をデジタル革新(イノベーション)を実現する[注釈 1]意味で“Society 5.0”と呼称する[1][4]

ドイツ2011年に発表した「インダストリー4.0」やアメリカゼネラル・エレクトリック(GE)社が2012年に発表した「インダストリアルインターネット」は、おもにICTIoTによる製造業の革新や生産性の向上にのみ焦点が当たる。Society 5.0は、ICTやIoTなどのデジタル革新により「社会のありよう」を変革し、社会が抱える様々な課題の解決を図る包括的なコンセプトである[4]

世界問題解決の観点から、国連が提唱する「持続可能な開発目標 (SDGs)」とともに、「Society 5.0 for SDGs[5]」として用いられることがある。

日本の取り組み

国内での具体的な実現方法として、日本版インダストリー4.0ともいえる『コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)』が経済産業省より提唱されている[6]

第5期科学技術基本法では、日本政府の研究開発への投資額は5年間で26兆円が見込まれている[4]。市場規模は760兆円があるとされる[7]

政府が2016年(平成28年)12月に発表した「新しい経済政策パッケージ」では、「単なる効率化・省力化にとどまることなく、「Society 5.0」時代のまったく新しい付加価値を創出することによって、まさに「革命的」に生産性を押し上げる大きな可能性を秘めている」と言及されている。

産業技術総合研究所のレポートでは、ソサエティー5.0を実現するための要素技術として以下の6つのテーマを挙げている[8]

  • CPS (Cyber-Physical System) における知覚・制御を可能とする人間拡張技術
  • 革新的なAI用ハードウェア技術とAI応用システム
  • AI応用の自律進化型セキュリティ技術
  • 情報入出力用デバイスおよび高効率のネットワーク技術
  • マスカスタマイゼーションに対応できる次世代製造システム技術
  • デジタルものづくりに向けた革新的計測技術

経済産業省は、ソサエティー5.0の実現の鍵となる技術として、IoT、ビッグデータ、人工知能 (AI)、ロボットを挙げている[9]

経団連は、2018年11月に発表した「Society 5.0 -ともに創造する未来-」の中でSociety 5.0を「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」と再定義し、「創造社会」と称する[10]。経団連は、Society 5.0は国連が提唱するSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とも軌を一にするとして「Society 5.0 for SDGs」を掲げている[11]

文部科学省は2018年度に「Society 5.0実現化研究拠点支援事業」を立ち上げ、Society 5.0のための中核的イノベーション拠点として大学や研究機関を支援している。このプログラムは、強力な機関のリーダーシップのもと、部門や組織の垣根を超えて研究成果を統合し、新技術の社会実装に向けた取り組みを加速する先端研究センターに資金を提供している。2018年の初回公募では11件の応募があり、大阪大学の「ライフデザイン・イノベーション研究拠点(iLDi)」が全国で唯一の支援対象として選ばれた[12]

脚注

注釈

  1. ^ 政府広報オンラインによるSociety 5.0の説明では『「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会が「Society(ソサエティ)5.0」。第4次産業革命によって、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらす』としている。

出典

  1. ^ a b c 新井紀子 (2016年4月7日). “スマート社会計画「ソサエティー5.0」、肝はデータ”. 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXKZO99346090W6A400C1X12000/ 2017年10月18日閲覧。 
  2. ^ 2021年(令和3年)版 科学技術・イノベーション白書
  3. ^ 解説動画「Society 5.0の実現に向けて」
  4. ^ a b c 「ソサエティー5.0」の衝撃 第5の新たな社会とは”. 東芝. p. 1 (2017年4月19日). 2017年10月18日閲覧。
  5. ^ Society 5.0 for SDGs(経団連による特設サイト)
  6. ^ 我が国産業が目指す姿(コンセプト)として「Connected Industries」を発表しました』(プレスリリース)経済産業省、2017年3月20日http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170320001/20170320001.html2017年12月4日閲覧 
  7. ^ 市場規模は760兆円。ウィズコロナ時代に拡大する「Society5.0」とは?”. 2020年8月11日閲覧。
  8. ^ 「ソサエティー5.0」の衝撃 第5の新たな社会とは”. 東芝. p. 2 (2017年4月19日). 2017年10月18日閲覧。
  9. ^ 「新産業構造ビジョン」 ⼀⼈ひとりの、世界の課題を解決する⽇本の未来”. 経済産業省. p. 7 (2017年5月30日). 2017年10月18日閲覧。
  10. ^ Society 5.0 -ともに創造する未来- Policy(提言・報告書)”. 一般社団法人 日本経済団体連合会 / Keidanren. 2019年12月23日閲覧。
  11. ^ Society 5.0 for SDGs | 経団連”. keidanrensdgs. 2019年12月23日閲覧。
  12. ^ 平成30年度「Society5.0実現化研究拠点支援事業」の採択課題の決定について”. 文部科学省. 2021年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年2月10日閲覧。

関連項目

外部リンク




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