STIR/STINGとは? わかりやすく解説

STIR/STING

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 09:21 UTC 版)

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STIR
中華民国海軍「蘭陽」の艦橋構造物上に搭載されたSTIR-1.8
種別 追尾レーダー
目的 射撃指揮
開発・運用史
開発国 オランダ
送信機
周波数 X/Kバンド
パルス 0.29 マイクロ秒
パルス繰返数 1,800 / 3,600 pps
送信尖頭電力 220 kW(Xバンド)
20 kW(Kバンド)
アンテナ
形式 パラボラアンテナ
(STIR:⌀1.8 m
STING:⌀1.2 m
STIR 240:⌀2.4 m)
ビーム幅 1.4度(Xバンド)
0.3度(Kバンド)
その他諸元
重量 1,700 kg(アンテナ)
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STIR: Signaal Tracking and Illuminationg Radar)は、オランダのシグナール(Signaal: 現 タレス・ネーデルランド)社が開発した射撃指揮レーダー。また、小型艦向けに小型化されたSTINGも開発された[1][2][注 1]

概要

本機は、WM-20シリーズをもとに卵型のレドームを廃止して追尾レーダーを独立させる形で開発された。基本型はSTIR 1.8(STIR-180)と称されており、カセグレンアンテナは1.8メートル径に大型化された。また更に大型の2.4メートル径のアンテナを採用したSTIR 2.4(STIR-240)もある。これによりSTIRシリーズは、艦砲や個艦防空ミサイル(PDMS)だけでなく、より長射程のスタンダードMR艦隊防空ミサイルの射撃指揮にも用いることができるようになった[1]。なお目標追尾だけでなく、セクター走査や高角測定、弾着観測(splash spotting)、水上目標に対する修正射撃、また直線軌道予測だけでなく曲線軌道予測にも対応している[2]

本機では、低高度性能の向上や鏡面反射の排除のため、XバンドとKバンドの二周波による追尾が行われており、より先進的なデジタル信号処理も導入された。送信機としては、当初はマグネトロンが用いられており[1]、尖頭電力はXバンドでは2.2キロワット、Kバンドでは30キロワット、Xバンド連続波照射時の平均電力は5キロワット以上であった[2]。またSTIR 2.4では、パルス圧縮のため、同社のゴールキーパーCIWS用に開発された進行波管(TWT)も導入され、STIR 1.8にもバックフィットされた。これにより、1平方メートルのレーダー反射断面積をもつ目標であれば140キロメートル以上の距離でも追尾できるようになった[1]。また各システムには、連続波照射、電子光学追尾装置(可視光および赤外線)、各種の移動目標指示(MTI)装置や電子防護措置、パイロットトーン処理などが組み込まれている。動作は全自動、半自動および全手動で行うことができる[2]

STIRは、下記のような武器システムの管制に使用できる[2]

採用国と搭載艦

 アルゼンチン海軍

 カナダ海軍

※HCM/FELEX改修によりCEROS 200へ後日換装。

 チリ海軍

 コロンビア海軍

 ドイツ海軍

 ギリシャ海軍

 大韓民国海軍

 オランダ海軍

 ナイジェリア海軍

 ブルネイ海軍

 ペルー海軍

 ポルトガル海軍

 台湾海軍

 タイ海軍

 トルコ海軍

 オマーン海軍

脚注

注釈

  1. ^ なお、WM-20シリーズの系譜に属するアメリカ合衆国のMk.92 FCSもSTIR(Separate Target Illumination Radar)と称するレーダーを有するが、これは本機とは関係なく、アメリカ国産のAN/SPG-60の派生形である[3]

出典

  1. ^ a b c d Friedman 1997, pp. 320–321.
  2. ^ a b c d e Streetly 2005, pp. 164–165.
  3. ^ Streetly 2005, p. 178.

参考文献





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