SEAモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 23:58 UTC 版)
武満は人生最後の20年間に、「半音上行」と「完全四度上行」を組み合わせた三音の動機を好んで用いた。この動機を変ホ音から始めた場合(変ホ-ホ-イ)のドイツ音名は「Es-E-A」となり、さらに音名「Es(エス)」を「S(エス)」に置き換えると「S-E-A」(Sea=海)となることから(下の譜例1.)、この動機は「SEAモチーフ」と呼ばれる(「海のモチーフ」、「循環する海のモチーフ」とも)。なお、譜例2.のように、移調されていても「半音上行、完全四度上行」の音程関係が維持されていればSEAモチーフと見なされる。 SEAモチーフの使用例は既に1974年作曲の『ガーデン・レイン』にも見られるが、武満がこの動機を「海」のイメージと結びいた音名象徴として使うようになるのは1980年代に入ってからのことである。 武満自身は「海(sea)に基づく、E♭、E、Aの三音を旋律的動機とする、パストラール風の絵画的小品」という言葉で作品を説明している。ただし、後述するように、実際には作品中においてSEAモチーフは移調した形でで使われている。船山隆(1998)は、第3曲「鱈岬」でのSEAモチーフの使用が目立つと述べているが、SEAモチーフが登場する回数自体は第2曲「白鯨」が最も多い。
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