Peter Guralnickとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Peter Guralnickの意味・解説 

ピーター・グラルニック

(Peter Guralnick から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/29 04:08 UTC 版)

ピーター・グラルニック(Peter Guralnick、1943年12月15日 - )は、アメリカ合衆国音楽評論家、著述家、アメリカ合衆国のポピュラー音楽英語版についての歴史家で、作家、脚本家としても活動している。

日本語では、ピーター・ギュラルニックと表記されることもある。

経歴

マサチューセッツ州ボストン生まれ。

グラルニックの最初の2冊の本、『Almost Grown』(1964年)と『Mister Downchild』(1967年)は、マサチューセッツ州ケンブリッジで、小説や詩集の出版を専門とするラリー・スターク・プレス (Larry Stark Press) を運営するラリー・スターク英語版によって出版された短編集であった。マサチューセッツ工科大学の大学新聞『The Tech1964年5月13日号には、『Almost Grown』について、モナ・ディクソン (Mona Dickson) による好意的な書評が掲載された[1]

ピーター・グラルニックは、1971年ボストン大学から創作文についての修士号を取得して修了し、その後、ブルースカントリーロックンロールソウルなどの歴史についての本を書き始めた。

グラルニックが2巻にまとめたエルヴィス・プレスリーの伝記『Last Train to Memphis』(1994年)と『Careless Love』(1999年)は、プレスリーの経歴を、興隆と没落のふたつの軌跡として描いたものである。合わせて1,300ページ以上(うち1,150ページほどは、文章だけ)におよぶ、この作品は、先行した伝記であるアルバート・ゴールドマン英語版の『Elvis』(1981年)と比べても、内容の深み、プレスリーの人生や音楽についての学術的な検討において、肩を並べるものとなっている。 グラルニックは、これ以前に、『The Rolling Stone Illustrated History of Rock & Roll』においてプレスリーについての記事を書いており、1976年の初版のときから、その後に版を重ねる中で、この記事はそのまま継承されている。グラルニックは、2010年に出た、CD30枚組ボックス・セット『The Complete Elvis Presley Masters』の、240ページに及ぶハードカバーの解説書の文章も、エルンスト・ヨルゲンセン (Ernst Jørgensen) とともに書いている。

同時代に活躍したレスター・バング英語版イアン・ペンマン英語版ニック・ターシズ英語版などによる、個性的で特異な、自己参照的で極めて個人的なスタイルで書かれる音楽評論とは対照的に、グラルニックの文章は、口語的な文体が特徴であり、明確で、過剰な装飾は比較的少ない。 最もよく書かれている箇所における彼の文章は、何かを強調しながら、客観性を保つことができている。

グラルニックは、A&Eのドキュメンタリー番組『Sam Phillips: The Man Who Invented Rock 'n' Roll』において、ビリー・ボブ・ソーントンが務めたナレーションの脚本を書き、同じくジェフリー・ライトがナレーションを務めた『Sam Cooke - Legend』の脚本も手がけた[2]マーティン・スコセッシ監督のドキュメンタリー『フィール・ライク・ゴーイング・ホーム (Feel Like Going Home)』の脚本も、グラルニックが書いたものである[2]

グラルニックは、アルバムのライナーノーツも数多く手がけており、1986年第28回グラミー賞では、サム・クックの『Live at the Harlem Square Club, 1963』のライナーノーツによって最優秀アルバム・ノーツ賞英語版を受賞した[2][3]。また、受賞はしなかったもののノミネートされたものとして、ビッグ・メイベル英語版の『The Okeh Sessions』、エルヴィス・プレスリーの『The Complete Sun Sessions』『The King of Rock 'n' Roll: The Complete 50's Masters』と『From Nashville to Memphis: The Essential '60s Masters』、サム・クックの『Sam Cooke's SAR Records Story 1959-1965』がある。このほかにも、特筆すべきものとして、チャーリー・リッチ英語版の最後のアルバム『Pictures and Paintings』、ジェリー・リー・ルイスの最後の3枚のアルバム『Last Man Standing』、『Mean Old Man』、『Rock and Roll Time』などがある。

2010年、グラルニックは、ノン・パフォーマー部門でブルースの殿堂入りを果たした[3][4]

2015年現在、グラルニックは、招聘作家 (Writer in Residence) として、テネシー州ナッシュビルヴァンダービルト大学に籍を置いている[2]

私生活

グラルニックは、1971年に、キャンプ・アルトン (Camp Alton) という少年たちのためのアスレチック・キャンプ施設を祖父から相続し、その所長となっていた。この施設は、ニューハンプシャー州ウルフボロ英語版ウィニペソーキ湖英語版に面していた。このキャンプ場は1992年に閉鎖された。グラルニックは、45年以上にわたって妻アレキサンドラ (Alexandra) と連れ添っている。ふたりの間には、息子ジェイコブ (Jacob) と娘ニーナ (Nina) がいる。

おもな著書

  • Peter Guralnick (1964). Almost Grown. Cambridge, Massachusetts: Larry Stark Press.
  • Peter Guralnick (1967). Mister Downchild. Cambridge, Massachusetts: Larry Stark Press.
  • Peter Guralnick (1971). Feel Like Going Home: Portraits in Blues, Country, and Rock 'n' Roll. ISBN 0-87690-046-5  Reprinted 1999. ISBN 0-316-33272-0
    • 日本語訳:(ピーター・ギュラルニック著、高橋佳代子・長束竜二 訳)ロックに棲むブルース、大栄出版、1996年
  • Peter Guralnick (1979). Lost Highway: Journeys & Arrivals of American Musicians. ISBN 0-316-33274-7 
  • Peter Guralnick (1982). The Listener's Guide to The Blues. New York: Facts on File, Inc.
  • Peter Guralnick (1986). Sweet Soul Music: Rhythm and Blues and the Southern Dream of Freedom. ISBN 0-316-33273-9 
  • Peter Guralnick (1988). Nighthawk Blues: a novel. Thunder's Mouth Press. ISBN 0-938-41064-4 
  • Peter Guralnick (1989). Searching for Robert Johnson. ISBN 0-452-27949-6 
    • 日本語訳:(ピーター・ギュラルニック著、三井徹 訳)ロバート・ジョンスン:伝説的ブルーズマンの生涯、JICC出版局、1991年
  • Peter Guralnick (1994). Last Train to Memphis: The Rise of Elvis Presley. ISBN 0-316-33225-9 
    • 日本語訳:(ピーター・ギュラルニック著、三井徹 訳)エルヴィス登場!!、ユーリーグ、1997年
  • Peter Guralnick (1999). Careless Love: The Unmaking of Elvis Presley. ISBN 0-316-33297-6 
    • 日本語訳:(ピーター・グラルニック著、三井徹 訳)エルヴィス伝:復活後の軌跡1958-1977、みすず書房、2007年
  • Peter Guralnick and Ernst Jorgensen (1999). Elvis Day by Day : The Definitive Record of His Life and Music. ISBN 0-345-42089-6 
  • Peter Guralnick (2005). Dream Boogie : The Triumph of Sam Cooke. Little, Brown. ISBN 0-316-37794-5 

インタビュー

脚注

  1. ^ Stark second edition out”. Tech.mit.edu. 2012年12月8日閲覧。
  2. ^ a b c d Peter Guralnick: Writer in Residence”. Vanderbilt University. 2015年5月11日閲覧。
  3. ^ a b A Conversation with Peter Guralnick”. The GRAMMY Museum. 2015年5月11日閲覧。
  4. ^ Other Individuals”. The Blues Foundation. 2015年9月23日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年5月11日閲覧。

外部リンク


「Peter Guralnick」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Peter Guralnick」の関連用語

Peter Guralnickのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Peter Guralnickのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのピーター・グラルニック (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS