In vitro 検査法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 16:18 UTC 版)
「抗体依存性細胞傷害」の記事における「In vitro 検査法」の解説
ADCCを誘発する抗体やエフェクター細胞の有効性を判断するために、いくつかの実験方法が存在する。通常、ある表面に露出した抗原を発現する標的細胞株を、その抗原に特異的な抗体とインキュベートする。洗浄後、Fc受容体CD16を発現するエフェクター細胞を、抗体で標識された標的細胞と共培養する。エフェクター細胞は典型的にはPBMC(末梢血単核細胞)であり、そのうち数パーセントはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)であるが、精製されたNK細胞そのものである事は少ない。数時間の内に、抗体、標的細胞、エフェクター細胞の間で複合体が形成され、標的の細胞膜が溶解する事になる。標的細胞に予め何らかの標識が付いていれば、細胞の溶解量に比例して標識が放出される。細胞毒性は、健康な無傷の細胞内に残るラベルの量と、溶液中のラベルの量を比較する事で定量出来る。 これを検出する古典的な方法は放射性同位元素を用いたクロム51[51Cr]放出試験であり、同じく放射性元素を用いた硫黄35[35S]放出アッセイはあまり使われていない。標的細胞の溶解(細胞死)は、ガンマ計数器やシンチレーション検出器により、細胞培養液中に放出された放射性標識の量を測定する事で決定される。現在では、様々な非放射性の方法が広く使用されている。蛍光を利用した方法としては、カルセイン(英語版)などの蛍光色素で直接標識する方法や、ユウロピウムで標識して放出されたEu3+がキレート剤と結合する事で発する蛍光を測定する方法などがある。蛍光の測定には、多重井戸型蛍光光度計やフローサイトメトリー法が用いられる。また、溶解した細胞の中には、GAPDHのように活性を維持している細胞酵素が含まれており、その酵素に基質を供給することで反応が起こり、その生成物を蛍光や吸光で検出する酵素ベースの試験法もある。
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