2009-2011年の観測
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「ぎょしゃ座イプシロン星」の記事における「2009-2011年の観測」の解説
ぎょしゃ座ε星は2009年から2011年にかけて変光すると予想され、実際に2009年8月11日に部分食による減光が始まったことが観測された。2009年12月には皆既食が始まり、2011年5月には本来の光度に戻ると推測された。この間に、ぎょしゃ座ε星の謎の解明が大きく前進することが期待された。 2009年11月から2010年12月までの間、ウィルソン山天文台のCHARAアレイ(英語版)が、ぎょしゃ座ε星の一部を覆い隠す不透明な円盤の赤外画像を撮影した。 2010年1月、スピッツァー宇宙望遠鏡 (SST) による観測で、伴星の正体は円盤に囲まれたB型の恒星であると示された。これを受けて研究チームがモデルの再検討を進めた結果、従来のモデルは主星の質量を過大に見積もっており、それに付随して伴星の光度や質量も過大な値を予測していた可能性が指摘された。仮に主星がこれまで考えられていたような大質量星ではなく、寿命末期の膨張した小質量星であるとすると、伴星の質量・光度も小さくてもよいこととなり、これまで謎とされてきた「伴星が異常に暗い」というモデルの欠陥を説明できる。また、1982年から84年にかけての減光で観測された一時的な増光は、伴星の円盤の隙間から光が覗いたものと考えられる。 その後、493日後の2011年3月19日にぎょしゃ座ε星は皆既食を終えて増光に入り、同年5月13日頃に部分食が終了したと見られている。 次回の変光は2036年から2038年にかけて起こると予想されている。
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