HIV感染症の治療中止
【概要】 抗HIV療法は治療に成功しても中止しないのが原則である。しかし、1)手術などの理由で服薬できない場合、2)重大な合併症や副作用の管理に抗HIV薬が障害となる場合、3)患者が厳格な治療を実行できない場合は中止せざるをえない。他に、4)長期にわたる抗HIV薬の服薬から患者を開放し休養を与えるという意味があるかもしれない。いわゆる「飲み疲れ」。中止すると数ヶ月以内に初回の治療開始をした状態に戻るという報告が多い。
【詳しく】 薬剤耐性HIVの患者が治療を中断すると、ウイルス量は増加し、CD4細胞数は低下する。このまま数ヶ月たつとHIVは耐性型から野生型にもどり、薬剤感受性が回復する。しかしここで再度抗HIV薬による治療をしても耐性HIVが再出現することが多い。意図的な治療中断は、わざとHIVを再増殖させて、HIV特異的な殺細胞性T細胞(CTL)を誘導させる方法である。研究は継続されているが、期待通りの結果にはなっていない。研究目的以外には勧められない。

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