高齢者への投与
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 02:53 UTC 版)
イソフルラン投与と術後認知機能障害(英語版)(POCD)の関連性が、特に高齢者において懸念されている。ヒト培養細胞をイソフルランに曝露すると、アポトーシスの誘導とアミロイドβの蓄積と凝集が認められ、POCDの原因の一部となり得ると思われたが、全体像は不明である。研究はin vitro で実施されており、これらの知見を麻酔の安全性向上に結び付けるためには、さらなるin vivo の実験が必要である。動物実験では、イソフルランで麻酔したアルツハイマーモデルマウスではアミロイド病変が増加し、認知機能障害を惹起することが示された。マウスの記憶障害は、GABAAα5サブユニットの逆作動薬であるL-655,708(英語版)の前投与で防止可能であった。ヒトのPOCDを防止できるか否かは不明である。 最新鋭の核磁気共鳴分光法を応用した生物物理学的研究で、吸入麻酔薬がアミロイドβの3つのアミノ酸残基(G29、A30、I31)と相互作用し、凝集を促進することが判明した。この領域は『一般に使用される吸入麻酔薬の一部が脳に損傷を与え、アルツハイマー病の発生を加速させる』可能性があるので重要であるとされる。
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