顕熱交換と全熱交換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/14 22:51 UTC 版)
図3 顕熱換器と全熱交換器 湿度の交換が不必要な場合は顕熱交換器を、湿度の交換も必要な場合は全熱交換器を使用する。 一般空調の場合は、湿度交換を必要とするので、全熱交換器を採用する。 全熱交換器は、換気によって失われる空調エネルギーから、顕熱(温度)と同時に潜熱(湿度)も交換回収できるため、高い省エネルギー効果を発揮することが出来る。 全熱交換器による排熱回収が、顕熱のみ回収する顕熱交換器と比較して高効率である理由を図3で説明する。 この図は顕熱交換器と全熱交換器で熱回収する場合の、熱回収の状態を湿り空気線図上に示したものである。 顕熱交換器を使用して熱回収した場合、熱回収は顕熱(温度)のみに対して有効で、熱回収量R'となり省エネ効果は低い。 これに対し全熱交換器を使用して熱回収した場合、熱回収は顕熱(温度)潜熱(湿度)の両方(全熱)に対して有効なので、熱回収量はRとなり、顕熱回収のみに比較してはるかに多くの熱回収ができ、省エネルギー効果が高い。 例えば夏期冷房時室内27℃、相対湿度52%、および屋外35℃、相対湿度64%のとき、全熱のうち顕熱の占有率は約22%であり、熱交換効率80%の熱交換器を使用して回収できる全熱は、顕熱交換器では18%未満になるが、全熱交換器では80%回収できる。 また暖房時には顕熱交換器と比べ、全熱交換器を使用すると加湿量は半分以下で室内湿度を適正に保つことが出来る。 全熱交換器を使用することによって、換気によって排気されるエネルギーの50~80%を回収再利用し、ビル全体の冷・暖房負荷を、20~30%削減できる。また全熱交換器の普及を促進することで、国内二酸化炭素総排出量の0.4~1.4%を削減する効果があるとの試算結果もある。
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