題名『神曲』の由来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 22:47 UTC 版)
原題はイタリア語で「神聖喜劇」を意味する。ただし、ダンテ自身は、単に「喜劇(Comedia)」とのみ題した。喜劇としたのは、悲劇と違って円満な結末を迎えるためや、比較的平易に読める当時の俗語で書かれているためだという。出版史上では、『神曲』の最初期の写本には、「ダンテ」「三行韻詩」などの題がつけられていた。15世紀から16世紀頃には、ダンテの詩が活版印刷で出版されるようになり、1555年に刊行のヴェネツィア版により「神聖喜劇」の題名が定着した。 邦題の「神曲」は、森鷗外訳の代表作であるアンデルセンの『即興詩人』の中で用いられた。その一章「神曲、吾友なる貴公子」において『神曲』の魅力が語られ、上田敏や正宗白鳥ら同時代の文人を魅了し、翻訳紹介の試みが始まった。 上記が日本における最初期の『神曲』紹介であり、ダンテ作品の受容はここから始まったとも言える。故に、今日でもほぼ全ての訳題が『神聖喜劇』ではなく、『神曲』で統一されている。
※この「題名『神曲』の由来」の解説は、「神曲」の解説の一部です。
「題名『神曲』の由来」を含む「神曲」の記事については、「神曲」の概要を参照ください。
- 題名『神曲』の由来のページへのリンク