音響光学分光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 06:57 UTC 版)
音響光学型分光計(Acousto-Optical Spectrometer: AOS)はミリ波やサブミリ波の分光技術として最近まで用いられていた。電磁波の中でも主に1GHz程度までの電波又は、スーパーヘテロダインによって1GHz程度の帯域までダウンコンバートした電波を入力とし、同軸線路上に乗せた電気信号を音響光学偏向素子に印加する。音響光学偏向素子は圧電素子と、振動を伝達する透明な結晶によって構成されている。素子の入力部には、圧電素子が設置されており、 圧電効果によって電気信号を機械振動に変換する。このとき、機械振動の振動数は音波~超音波帯域になる。生じた音波は、媒質中(ニオブ酸リチウム、二酸化テルルなどの結晶を用いる)を疎密波として進み、片端で吸収させる。この粗密波に直交するようにレーザー光を入力すると、粗密波は回折格子として機能し、回折縞を生じる。これをリニアCCDなどによって計測することによって、フーリエ分光することができる。近年、FPGAやAD変換器の高速化によりサンプリング周波数が数GHz~数10GHzまでのフーリエ変換が電子回路上で実行可能になってきたため、ミリ波やサブミリ波の分光技術としては、音響光学型分光計はあまり用いられなくなってきている。
※この「音響光学分光」の解説は、「分光法」の解説の一部です。
「音響光学分光」を含む「分光法」の記事については、「分光法」の概要を参照ください。
- 音響光学分光のページへのリンク