重農主義・農本主義との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 10:12 UTC 版)
「農本思想」の記事における「重農主義・農本主義との関係」の解説
重農主義と農本思想(農本主義)については、しばしばその類似性が指摘される。これは18世紀になるとイエズス会宣教師によって中国の思想が欧州に紹介されるようになり(中国学参照)、彼らの著作に接したケネーが自らの理想の具現化を当時の中華帝国に見いだし、その農業政策を称賛した(重農主義の経済学の成立に影響を与えていたとする見解もある)からである。一方で、重農主義が農業を「富の源泉」として経済学的に捉え、のちの古典派経済学的思考につながっていくのに対し、農本思想は「立国の基礎」として統治学(経世論)的に把握している点において、両者の間には違いがある。 また明治期以降の日本で発展した農本主義(狭義の「農本主義」)もしばしば前近代の農本思想と渾然一体に捉えられることも多い。しかし農本主義が資本主義時代における工業化を前提とし、その中での農業の復権を標榜しているのに対し、前近代の農本思想は、工業化以前の封建社会において体制の中軸をなす農業・農村の維持をはかる思想であり両者の間には質的な違いがある。
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