酸性トレハラーゼ(AT)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 21:53 UTC 版)
「トレハラーゼ」の記事における「酸性トレハラーゼ(AT)」の解説
酸性トレハラーゼ(AT)の分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーで218 kDaと測定されている。ATは糖タンパク質であり、炭水化物含量は86%である。ATの成熟化は、糖の付加のない41 kDaのタンパク質を出発として、まずは小胞体内で76 kDaの糖タンパク質となり、ゴルジ装置内でさらに糖化されて180 kDaになり、最終的に液胞内でさらに糖化されて約220 kDaになるという段階的な反応で行われる。純粋なATをエンドグリコシダーゼHで処理することで41 kDaの糖付加のないタンパク質が得られる。ATのトレハロースに対するKmは、pH4.5で約4.7 mMである。出芽酵母でATをコードする遺伝子は、ATH1である。 出芽酵母が細胞外のトレハロースを炭素源として利用するためには、Ath1p(AT)が必要である。ATH1を持たない突然変異体は、トレハロースを炭素源とする培地では生育できない。 ATは、合成地点からペリプラズムまで移動し、そこで外生のトレハロースに結合して内在化し、液胞内でそれを加水分解すると考えられている。出芽酵母のAT活性の90%以上が細胞外であり、ペリプラズムにおいてトレハロースをグルコースに分解していることも示されている。かつては、遺伝子YGP1の産物であり、高度に糖化されたタンパク質gp37がAT活性と関連していると報告されていた。またサッカラーゼの活性もAT活性と関連していると報告された。ATとこれら2つのタンパク質の物理的な関連は、Ath1pの既知の分泌シグナルの非存在下で、ATがサッカラーゼやgp37の分泌経路により分泌されると考えられる。
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