部分的最小二乗回帰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/18 07:57 UTC 版)
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部分的最小二乗回帰(ぶぶんてきさいしょうじじょうかいき、英: partial least squares regression、略称: PLS回帰)は、主成分回帰といくらかの関係を持つ統計的手法の一つである。偏最小二乗回帰または部分最小二乗回帰とも呼ばれる。PLS回帰は、応答変数と説明変数との間の最大分散の超平面を探す代わりに、予測変数と観測可能な変数を新たな空間に射影することによって線形回帰モデルを探る。XおよびYのデータが共に新たな空間に射影されるため、PLSに分類される手法群は双線形因子モデルとも呼ばれる。部分的最小二乗判別分析(PLS-DA)は、Yが分類である時の派生法である。
PLSは2つの行列(XおよびY)間の基本的関係を探すために用いられる。すなわち、これら2つの空間における共分散構造をモデル化するための潜在変数アプローチである。PLSモデルはY空間における最大多次元分散方向を説明するX空間における多次元方向を探そうと試みる。PLS回帰は予測因子の行列が観測因子よりも変数の数が多い時、そしてXの値の間に多重共線性が存在する時に特に適している。対照的に、標準的な回帰手法はこれらの場合(正則化されていない限り)失敗する。
部分的最小二乗法は、スウェーデンの統計学者ヘルマン・ウォルドによって発表された。ウォルドはその後息子のスヴァンテ・ウォルドと共にこの手法を発展させた。PLSの(スヴァンテ・ウォルドによればより正確な[1])別称は、「projection to latent structures」(潜在構造への射影)であるが、多くの分野において「部分的最小二乗法」という用語が未だに優勢である。PLS回帰の最初の応用は社会科学分野でのものだったが、今日、PLS回帰は計量化学(ケモメトリクス)と関連領域において最も広く使われている。また、バイオインフォマティクス、感覚計量学、神経科学、人類学でも使われている。
基礎的モデル
多変量PLSの一般的基礎的モデルは以下の式で表わされる。
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