遺伝性球状赤血球症とは? わかりやすく解説

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遺伝性球状赤血球症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/08 07:57 UTC 版)

遺伝性球状赤血球症(いでんせいきゅうじょうせっけっきゅうしょう、英 Hereditary spherocytosis, HS)は、溶血性貧血の一種。遺伝性に赤血球が球状化する。

病態

球状になった赤血球(球状赤血球)は変形能が乏しいので、物理的に脾臓を通過できずに破壊される。赤血球が脾臓で破壊される事を血管溶血という。溶血により貧血となるが、その程度はまちまちである。また、溶血によってヘモグロビンが壊されて間接ビリルビンになり、血中の間接ビリルビン濃度が上昇する。

分類

原因

常染色体優性遺伝
赤血球の細胞骨格に関係する遺伝子が原因となっている物が多く、スペクトリンアンキリン、Band 3, Protein 4.2などが含まれる。細胞骨格に異常があるために丸い形になる。浸透圧に抵抗する力が弱く、赤血球内にナトリウムイオンが入り込みやすくなる。そのナトリウムイオンを汲み出すためNa-K ATPaseが活性化し、その結果膜のリン脂質が失われ、小球性の球形を呈した異常な赤血球に変化する。

統計

ICD-10: D58.0

症状

  • 溶血性貧血が起きるが、骨髄の赤血球造血能によって代償されるため、正常値のこともある。
  • 血管外溶血によって軽度から中等度の脾腫が起きる。
  • 血中の間接ビリルビンが増加して、家族性に小児期から黄疸胆石を認める場合がある。

合併症

  • 胆石を合併することが多く、胆石手術の際に初めて診断されることもある。
  • 高度の貧血が成長期に持続していると、発育が遅れて小柄となる傾向がある。

検査

  • 血液検査
    • 血清生化学検査
      間接ビリルビンが増加する。
      機能は胆石の影響がなければ正常。
      ハプトグロビンが低下する。
    • 末梢血塗沫染色標本検査
      真ん中が薄くなっていない赤血球を認める。真ん中が薄くなっていない赤血球を球状赤血球と言う。
      網赤血球が増加する。
  • 直接クームス試験では陰性になる。

診断

末梢血塗沫染色標本検査で、球状赤血球を認める事で下す。
家族歴も重要だが、両親に本症の徴候が認められないこともある。

治療

手術療法を行う。手術は、脾臓を摘出する。脾臓を摘出する事を脾摘と言う。脾摘により赤血球が破壊されなくなるので、溶血、黄疸が改善する。

  • 適応 : 絶対適応。ただし、免疫の観点より、乳幼児期はなるべく避ける。
  • 副作用は、脾臓が免疫を担っていることから病気にかかりやすくなる。病気にかかりやすくなる事を易感染性と言う。

貧血が高度な場合は輸血を行う。輸血された赤血球が脾臓で異常に破壊されることはない。

予後

  • 基本的には慢性の経過であり、予後は良い。
  • 感染症などの際に一過性に骨髄の赤血球造血能が低下し、貧血が急速に悪化することがある。
  • 胆石の合併症として胆嚢胆管の炎症が重症化すると、予後に影響する。

診療科

血液を専門とする小児科血液内科

歴史

各国において

日本

統計

日本の遺伝性溶血性貧血の中で最も多い。





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