過去の凍上の研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/21 11:12 UTC 版)
1694年にBeskowが土中の凍結の影響を書き残している。 Taberは、「凍上は氷点下になる前に既に土中にあった水のモル体積が、凍結に伴って膨張する結果として起こる。つまり土中における水の移動は大きな影響を持たない」とする仮説を否定した。 水は、そのバルク凝固点において水から氷に相転移するとき、モル体積が約9%膨張するので、モル体積の膨張によって起こりうる最大の膨張量は9%となるであろう。しかし、その9%の膨張が起こったとしても、氷が土中で水平方向には全く広がる事が出来ず、体積の膨張が全て上下方向に向かうと仮定した場合にのみ、9%の膨張がすべて凍上に寄与できる。Taberは、凍上における鉛直方向の土の変位量は、モル体積膨張によって可能な量よりも、かなり大きくなる場合もあるという事を示した。 氷というものは、液体の状態(水)よりも体積が増える性質があり、この性質は様々な化合物の中でも異質なものである。多くの化合物は液体から固体へ相転移するときに体積が減少する。Taberは、液体の水が土中の凍結面に向かって流れる事を示した。また彼は、凝固すると収縮するベンゼンのような他の液体を使っても、同様の現象が起こる事を示し、ベンゼンでも凍上が起こる事を示した。 これによりモル体積の変化は凍土を鉛直方向に変位させる主な機構ではないと結論づけられた。彼の実験では更に、上方からのみ冷やして温度勾配を作った土の柱の中でアイスレンズが成長する様子を示した。
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