近軸のとき
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 14:36 UTC 版)
ヘルムホルツ方程式の近軸(paraxial)における表式は ∇ T 2 A − j 2 k ∂ A ∂ z = 0 {\displaystyle \nabla _{T}^{2}A-j^{2}k{\frac {\partial A}{\partial z}}=0} となる。ここで ∇ T 2 = ∂ 2 ∂ x 2 + ∂ 2 ∂ y 2 {\displaystyle \nabla _{T}^{2}={\frac {\partial ^{2}}{\partial x^{2}}}+{\frac {\partial ^{2}}{\partial y^{2}}}} はラプラシアンの横(transverse)成分である。 この方程式は光学での応用が重要である。光学では、この方程式が放物面波(paraboloidal waves)やガウシアンビームの形の電磁波(光)の伝播についての解を与える。多くのレーザー装置が放射するビームはそのような形になっている。 近軸の近似では、電場の複素強度?(electric field complex magnitude) E は E ( r ) = A ( r ) e − j k z {\displaystyle E({\boldsymbol {r}})=A({\boldsymbol {r}})\,e^{-jkz}} となる。ここで A は電場の複素振幅を表し、それに指数関数で表される正弦波的な変調がかかっている。 近軸の近似においては、電場の振幅 A と伝播方向の長さ z との間に一定の制限がかかる。それは | ∂ A ∂ z | ≪ | k A | {\displaystyle \left|{\frac {\partial A}{\partial z}}\right|\ll |kA|} と | ∂ 2 A ∂ z 2 | ≪ | k 2 A | {\displaystyle \left|{\frac {\partial ^{2}A}{\partial z^{2}}}\right|\ll |k^{2}A|} である。これらの条件は、光学軸(z 軸)と波数ベクトルk とがなす角度 θ が十分に小さく sin θ ≃ θ , tan θ ≃ θ {\displaystyle \sin \theta \simeq \theta ,\quad \tan \theta \simeq \theta } が成り立つことと同値である。
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