身についた自殺潜在能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/19 14:14 UTC 版)
「自殺の対人関係理論」の記事における「身についた自殺潜在能力」の解説
ジョイナーはこれを「身についた」潜在能力と呼ぶ、なぜなら生まれつきの能力ではないからである。反対に、自殺行動をとる能力は人生経験を通して獲得される。死の恐怖は生まれつきの強い本能である。自殺の対人関係理論によると、肉体的な痛みや挑発的な人生経験にさらされると、大胆不敵さや痛みへの鈍感さにつながることが多いので、死への恐怖感が弱まる。これらの経験には、子供時代のトラウマ(英語版)や、トラウマ的な出来事を目撃すること、重病を患うこと、自傷行為 を取ることなどが含まれる。 これらの行動は痛みを伴う刺激に対して鈍感になっていく作用をもたらし、自殺行動を取る能力を高めるとされている。この点は自殺未遂や自殺による死亡の可能性が高い個人を特定する上で重要である。たとえば、特定の職業(兵士、外科医、警察官)は身体的苦痛や挑発的な経験にさらされている。より具体的には、戦闘経験のある兵士は、重傷にさらされたり、他人の死を目撃したりしている可能性が高く、痛みを伴う経験に対する恐怖に慣れている。これは、兵士の自殺率が高いことを示すデータと一致している。さらに、過去の自殺未遂は将来の自殺未遂の予測因子の第1位であることがわかっている。これはジョイナーの理論と一致している。自殺を試みる人は死の恐怖に慣れてしまい、その恐怖が弱まることでその後も自殺を試みる可能性がより高くなる。
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