起電力の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 05:57 UTC 版)
次のような電池図式で表される電池を考える。 T ∣ M 1 ∣ S ∣ M 2 ∣ T ′ {\displaystyle {\rm {T\mid M_{1}\mid S\mid M_{2}\mid T^{\prime }}}} ここで、M1, M2 は電気伝導体の電極を、S はイオン伝導体(電解質)の溶液を、両端の T, T′ は端子を表すとする。 この電池の内部において正電荷を左から右(T → T′の方向)へ移動させるときに、電極 M1 上では R ( M 1 ) ⟶ O ( M 1 ) + n e − ( T ) {\displaystyle \mathrm {R(M_{1})\longrightarrow O(M_{1})+} n\mathrm {e^{-}(T)} } (酸化反応) 電極 M2 上では O ′ ( M 2 ) + n e − ( T ′ ) ⟶ R ′ ( M 2 ) {\displaystyle \mathrm {O^{\prime }(M_{2})+} n\mathrm {e^{-}(T^{\prime })\longrightarrow R^{\prime }(M_{2})} } (還元反応) すなわち、電池全体では、 R ( M 1 ) + O ′ ( M 2 ) + n e − ( T ′ ) ⟶ O ( M 1 ) + R ′ ( M 2 ) + n e − ( T ) {\displaystyle \mathrm {R(M_{1})+O^{\prime }(M_{2})+} n\mathrm {e^{-}(T^{\prime })\longrightarrow O(M_{1})+R^{\prime }(M_{2})+} n\mathrm {e^{-}(T)} } の反応が進行すると約束する(電池図式において左側の電極はアノード、右側の電極はカソードを表す)。 この反応が電気化学的平衡になっている時の、左側の端子 T に対する右側の端子 T′ の電位差が起電力である。 このときの起電力 E は E = − ( μ e − T ′ − μ e − T ) F = − ( μ O M 1 + μ R ′ M 2 ) − ( μ R M 1 + μ O ′ M 2 ) n F {\displaystyle E=-{\frac {(\mu _{\mathrm {e^{-}} }^{\mathrm {T^{\prime }} }-\mu _{\mathrm {e^{-}} }^{\mathrm {T} })}{F}}=-{\frac {(\mu _{\mathrm {O} }^{\mathrm {M1} }+\mu _{\mathrm {R^{\prime }} }^{\mathrm {M2} })-(\mu _{\mathrm {R} }^{\mathrm {M1} }+\mu _{\mathrm {O^{\prime }} }^{\mathrm {M2} })}{nF}}} で表すことができる。ここで、μ xy は相 x における反応種 y の電気化学ポテンシャル、n は反応電子数、F はファラデー定数を表す。 一般に、反応のギブスエネルギー変化が ΔG で表されるとき、起電力 E は、 E = − Δ G n F {\displaystyle E={\frac {-\Delta G}{n{\mathrm {F} }}}} となる。 このように、起電力は形式的に決定される。普通、電池の場合は起電力の値が正となるように電池図式・化学反応式を記述する。電池の反応式を逆に記述すれば起電力の符号も逆になる。
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