誰かまた鳥の名を言い受験生
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 春 |
出 典 | 夏白波 |
前 書 | |
評 言 | 今年もまた受験シーズンが来た。 学校、予備校、そして試験会場、たくさんの受験生たちが集い、語り合う。頑張ってきた自負、頑張れなかった後悔、押し寄せる緊張感、自由になりたいという願い、それらがない交ぜになって、無意識のうちに呟いている「鳥の名」。それも連鎖反応のように。 「鳥」は彼らにとって憧れであり、そしてまた自意識の象徴でもあるのだろう。 受験生時代という「異世界」の中で生まれたひとつの「発信」。「鳥の名」という設定が実にリアルであり、少年期(青年期)ならではの情緒性が見事に描かれている。作者の目線、その柔らかさ、深さに感服。 「受験」を詠んだ作品。他にも、 入学試験幼き頸の溝ふかく 中村 草田男 受験期や少年犬をかなしめる 藤田 湘子 受験生呼びあひて坂下りゆく 広瀬 直人 受験生来てさまよへり遊園地 相馬 遷子 受験生みな深海の貌をもつ 中村 正幸 受験子や靴のかかとの傾ぎ癖 昆 みき 表題作やこうした作品に触れながら、自らの受験生時代を思い出す。あの乾いた空気の日々、僕もふと鳥の名を呟いていただろうか・・。 |
評 者 | |
備 考 |
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