観客という役割を離れた個別的体験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 01:15 UTC 版)
「イマーシブシアター」の記事における「観客という役割を離れた個別的体験」の解説
こうした様々な仕掛けの施された空間で行われるパフォーマンスは、ある程度直線的に順を追って体験できるように設計される場合と、広い空間を観客自身の選択によって探索しながら体験できるように設計される場合とがある。前者の場合、観客は少人数のグループに分かれて1人または複数の演者によってガイドされたり、タスクを与えられたりする。どちらの場合でも、個々の観客の「体験」が焦点となる。 このような設計の中で観客は、物語の中であるレベルの積極的な役割を果たすことを期待される。これにより観客一人一人は、社会的な役割としての「観客」を離れて、劇中で何らかの役割を与えられた人物として行動することになる。すなわち、演者と同じ物語空間に同居することになる。多くの場合、その役割に関する年齢、性別、職業などの具体的な属性は伏せられている。 観客の行動によって、エンディングや物語の筋が変化する場合もある。たとえば、フォンドゥーズが考案したビスポーク・シアターでは、観客の参加をプリプロダクションにまで広げており、各公演が脚本レベルで観客ごとにカスタマイズされる。また、サスペンスや不安といった要素が利用されることも多い。これは観客が自分のコンフォートゾーンから離れることで、物語を進めるために必要な秩序や構造を維持できると同時に、より没入度を高めリアルな行動や反応を引き出せるためである。
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