複製起点の認識
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 07:27 UTC 版)
複製起点の認識はpre-RCの形成における重要な第一段階である。この過程はドメインによって異なる方法で行われる。 細菌では、複製起点の認識はDnaAによって行われる。DnaAはoriC内の9塩基対のコンセンサス配列(5' – TTATCCACA – 3')に対して強固に結合する。oriC内には5つの9塩基対コンセンサス配列(R1–R5)と4つの非コンセンサス配列(I1–I4)が存在し、DnaAはこれらの配列に対して異なる親和性で結合する。DnaAはR4、R1、R2に高い親和性で結合し、 R5、I1、I2、I3、R3に対してはより低い親和性で結合する。pre-RCはDnaAが高親和性と低親和性の9塩基対結合部位の全てに結合した時に完成する。 古細菌には1つから3つの複製起点が存在する。複製起点は一般的にATに富む配列であり、古細菌の種によって配列は異なる。単一のORCタンパク質がこのATに富む配列を認識し、ATP依存的にDNAに結合する。 真核生物の複製起点は、各染色体につき少なくとも1つ存在する。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeは明確な開始配列(TTTTTATG/ATTTA/T)を持つ、唯一の既知の真核生物である。この開始配列はORC1–5によって認識される。出芽酵母では、ORC6のDNAへの結合は知られていない。分裂酵母やより高等な真核生物の開始配列は明確ではないが、一般的に開始配列はATに富む配列であるか、DNAが屈曲したトポロジーを示す配列である。分裂酵母では、ORC4タンパク質がATフックモチーフを用いて複製起点のATに富む部分に結合することが知られている。高等真核生物での複製起点の認識機構はあまり解明されていないが、ORC1–6タンパク質の結合はDNAが通常とは異なるトポロジーを持つことに依存していると考えられている。
※この「複製起点の認識」の解説は、「複製前複合体」の解説の一部です。
「複製起点の認識」を含む「複製前複合体」の記事については、「複製前複合体」の概要を参照ください。
- 複製起点の認識のページへのリンク