裁判規範性はあるか
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 03:24 UTC 版)
平和的生存権を「権利」と言うためには、裁判上でこの権利を行使できる論拠を求めなければならないが、そもそも前文は努力目標や理念を示したに過ぎず裁判規範性はないとの意見も多く、実際に認めてしまえば条文に明記された他の権利の地位が相対的に低下する(権利のインフレ化)を招くとも批判される。一方で、前文の重要性や第9条などの他の条文との兼ね合いから肯定する意見もある。現在のところ判例上は長沼事件1審判決が裁判規範性を肯定したものの、その後の控訴審で否定されている。最近では自衛隊イラク派兵差止訴訟における名古屋高裁違憲判決ではこれを明確に肯定している。判決文で、「平和的生存権は現代において、憲法の保障する基本的人権が、平和の基盤なしには存立し得ないことからして、全ての基本的人権の基礎にあって、その享有を可能ならしめる基本的権利であるということができ、単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない。」と示された。
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