裁判所長の反論文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 05:33 UTC 版)
「別府3億円保険金殺人事件」の記事における「裁判所長の反論文」の解説
1976年(昭和51年)9月、大分合同新聞に一通の読者からの投書が掲載された。それは、仮に荒木が助手席にいたとしても運転席の妻をはねのけてハンドルを操作することはできたはずだとして、「どうして捜査当局は荒木の運転席問題にとらわれすぎるのだろう。荒木が助手席に座っていたとしても何もこの事件の解決にかかわりないと思う。」と裁判の推移に疑問を呈するものであった。 これに対して、大分地裁の西村法所長が、同じ大分合同新聞に意見を寄せた。西村所長は、「荒木が運転席の妻をはねのけておいて、ハンドルを操作して犯行を実行したのかどうかということ自体が、犯行の具体的状況として、法廷で証拠により立証されなければならない」として「荒木が座席のどちらかに座っていてもどちらでもよいという問題ではない」と反論し、「いかに凶悪な事件を起こしたとして起訴された被告人であっても、法廷で証拠により有罪が立証されなければならないことはいうまでもなく、このような被告人でも、法廷のルールに従っている限り、法は平等に適用されなければならない」と説いた。 法廷で転落時に運転していたのが荒木か妻かが争われているさなかに、当該裁判所の所長の事件に関する意見が発出されたことは波紋を呼んだ。大分地検の検事は裁判所の意図を訝しみ、世間でも荒木無罪もありえるとのムードがにわかに広がった。
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