菜種島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/14 05:37 UTC 版)
菜種島(なたねじま)は岩美町にある島。 浦富海岸の城原海岸にあり、高さが最大約50~60m、周囲は約400mある。浦富海岸の島としては最大で、浦富海岸の景勝地の代表格。4つの小島を伴っており、菜種五島とも呼ばれる。菜種五島はもともと1つの半島だったものが海食作用で隔てられたものである。島の南北にはそれぞれ洞門があり、特に北側の洞窟は幅5メートル、高さ8メートル、奥行きが50メートルある。 ほかにも近くにはかつて洞門のある周囲50メートルの島(門島)があったが、崩落して3個の小島(北門島、中門島、南門島)になった。このうち北門島と南門島は花崗岩だが、中門島は北側が花崗岩、南側が石英斑岩でできている。 島全体は黒雲母花崗岩で構成されていて、淡い褐色から白色をしている。花崗岩の白色の断崖上にはクロマツがみられ、マルバグミ、トベラ、テリハノイバラやコケ類が自生している。江戸時代に、近海で座礁した北前船の積み荷の菜種が漂着し、それ以来アブラナ(菜種)が自生することからこの名がある。 菜種島のアブラナは、日本国内では稀少な在来種であり、学術的に貴重であるとされている。国内では明治以降に西洋種が導入されて普及し、在来種の自生地はほとんど無くなってしまっている。しかし菜種島は常に西寄りの強い海風が吹いているうえに、自生地は高さ60メートルほどの切り立った岩場の上にあるので、陸側から西洋種や雑種の花粉が到達する可能性がほとんど無く、江戸時代のアブラナ種がいまも純粋なまま保持されている。しかし近年はアブラナの数が減りつつあり、いずれ絶滅するとみられている。
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