芸能と「やつし」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/01 23:59 UTC 版)
浄瑠璃や歌舞伎の演目である『義経千本桜』の平維盛が鮨屋の弥助として世を忍んだように、本来の身分を隠してみすぼらしい姿に零落し苦難や恋愛を乗り越える筋書きが、芸能に見られるやつしである。歌舞伎では和事のなかで、遊里に入れ込んで勘当され身をやつした主人公が中心となる演目をやつし事と呼ぶ。やつし事の演技は、みすぼらしい姿でも身に備わった気品や育ちの良さを失ってはならないとされる。やつしの根底には、貴種流離譚を源とする伝統的心性がある。 また、目的を持って意図的に行われる変装や、隠されていた正体を現す変身もやつしに含まれる。例えば、助六の主人公は侠客に身をやつし敵討ちの機会を狙う曽我五郎である。やつしは、仮体から本体へと戻るときの驚きや喜びを観客と共有する演出である。
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