花谷和子とは? わかりやすく解説

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花谷和子

花谷和子の俳句

かがやくはひとの内側月の梅
すでに木の名持たぬ切株春の森
とぐ米の水の匂える小春かな
まなざしを遠く林檎の木に林檎
むつかしく思わず障子開けに立つ
わがものと見し凶作田過ぎ信濃
アルプスの澄む空すすき抱えゆく
カフカの城よりもおぼろの城めざす
バターナイフすっきり拭う午後ぬくし
ボタン冷ゆ海上都市のエレベーター
一畝を至れり尽せり茄子の花
一粒ずつ拾う椎の実の無数
人影のはるか鶏頭一本ずつ
凋落の白さも白さ沙羅の花
分度器に透きたる海図秋の風
到り得ぬ光ひとすじ雪蛍
励み鳴くちちろ都心のターミナル
同型にして百態の海猫舞う
塔乗の子を見送りしのちの雪
声映すまで透きとおる五月の窓
夕虹を鏡の中へ入れてしまう
好転のとき青鷺の身じろぐは
小春凪沖へ睫毛を張る少女
底からの得心全山紅葉せり
引き際の波へ及べる夜涼の灯
明暗はふたつにひとついなびかり
星移る匂い袋の涼しき香
枯れゆくに骨身惜しまず雑木山
桜蓼やさしさいつもうしろより
歳月はやがて微塵に冬夕焼
死で終る小説閉ざす二月の森
水底に杞憂のありやほととぎす
水鳥が水鳥ふやす牡蛎筏
泉の音ひびき皆目見えぬ闇
満月のほたるぶくろよ顔上げよ
潮匂う髪よたんぽぽ踏まないで
濁流のさきざき栗の花咲けり
火の通りにくき鯛の子煮てひとり
炎昼の亀よ祖があり子の亀も
球入れの球晩年の日を数う
白はちす咲く八月の絵蠟燭
秋すでに星とまじっている黒髪
窓にいま太陽生まる冬林檎
綿虫の目鼻を知らず働けり
船上の春やシェカー振る無口
花鋏きのうの蜂にまた出会う
草亀の単眼ひらくもめつむるも
菓子包む薄紙人の世の春を
裸木となり月光に手をつなぐ
言い遺すこと月光に富む大地
 

花谷和子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/15 03:22 UTC 版)

花谷 和子(はなたに かずこ、1922年3月22日 - 2019年6月11日[1])は、大阪府出身の俳人。旧姓・驪城(こまき)。豊中市生まれ。1939年、大阪府立清水谷高等女学校(現・大阪府立清水谷高等学校)卒。1954年、「青玄」に入会、日野草城に師事。草城没後は伊丹三樹彦に師事した。1973年、「藍」を創刊、代表同人。1975年より同主宰。1986年、大阪府芸術功労賞、1994年、第43回現代俳句協会賞受賞。2011年、「藍」主宰を退き名誉主宰。代表句に「宙という美しきもの雪舞えり」などがあり、やさしさや慈しみを湛えた句風である。句集に『ももさくら』『光は空へ』『五月の窓』がある。子の花谷清も俳人で現「藍」主宰。 2019年6月11日、老衰のため死去。97歳。


  1. ^ “俳人の花谷和子さん死去”. 時事通信社. (2019年7月4日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2019070400627&g=obt 2019年7月4日閲覧。 


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