腐食疲労
酸、アルカリ、塩水中などの腐食性イオンに侵されやすい金属材料は、それら環境中で繰返し応力を受けると疲労強度が著しく低下する。このことを腐食疲労という。これは腐食によって表面が組くなり、それによる切欠き効果で腐食皮膜の亀裂や剥離が発生し、さらに腐食液が攪拌されることによって腐食がいっそう促進される。この現象は不動態被膜をもつステンレス鋼でも起き、破断面を観察しても錆びがみられない場合がある。腐食疲労は空気中でも発生する。それは空気中の水分が材料の表面や、亀裂底に露点変化や毛管現象などにより凝縮し、さらにはそれに空気中の汚染ガスや塵中の吸着物質が溶解し腐食疲労を加速させることによる。
腐食疲労
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/14 09:17 UTC 版)
腐食疲労(ふしょくひろう、英: corrosion fatigue)とは、材料が腐食性環境下で繰返し応力を受けることで発生する疲労現象のことである[1]。腐食作用と繰返し応力を同時に受けることで、それぞれが個々に作用した場合に比べて大きな材料損傷を発生させる[2]。
- ^ a b 『機械工学辞典』日本機械学会、丸善、2007年1月20日、第2版、1141頁。ISBN 978-4-88898-083-8。
- ^ a b c 材料強度 p.158
- ^ a b c 腐食防食の実務知識 p.57
- ^ 材料強度 p.146
- ^ 疲労設計便覧 p.254
- ^ a b 材料強度 p.159
- ^ 江原1993 p.1
- ^ 疲労設計便覧 p.272
- ^ a b c J. W. Martin (1980年). “A study of crack initiation in corrosion-fatigue of A.I.S.I 316 stainless steel by dynamic measurement of corrosion characteristics and corrosion current transients (pdf)”. Brunel University Research Archive. Brunel University School of Engineering and Design PhD Theses. p. 1. 2014年7月12日閲覧。
- ^ a b 駒井謙治郎「腐食疲労と環境強度の歴史から学んだこと」『日本機械学會論文集. A編』第69巻第687号、日本機械学会、2003年11月25日、 1521頁、 ISSN 03875008、 NAID 110002370476。
- ^ 江原1993 p.3
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