脆弱性の分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:26 UTC 版)
東京大学の茅根創らは2003年より2007年まで環礁州島諸国の環境危機の研究を行い、その報告では、「環礁州島の危機はグローバル・ローカル両方の環境ストレスが複合したものであり、現在発生している問題はおもにローカルな要因によるものである。ローカルな要因によって、今世紀予測されている地球規模変動に対して脆弱性の高い州島になってしまっている」と結論づけている。ここでグローバルな要因とは、地球温暖化および海面上昇という地球規模の要因であり、ローカルな要因とは土地の使用条件・社会経済条件、植生の管理のしかたや住民の数や住まい方など地域規模の要因を意味する。 すなわち、ツバルの環礁州島の問題は、単純に「海面上昇による水没」だけによるものではない。たとえば、水面が上昇してもそれに見合うスピードでサンゴ礁が砂礫を供給すれば即海面下に沈みこんでいく事態にはならないが、あいにくサンゴ礁が砂礫を供給する能力が落ちている(サンゴ礁の劣化)。これは地球規模の要因である地球温暖化によってサンゴが白化するという現象のためで、サンゴ礁が劣化し、地形を作る能力や、島を形づくる砂礫を供給する能力も落ち、砂礫の供給が海面上昇に追いつかなくなっている。さらにサンゴ礁の劣化は、地球温暖化だけでなく、ツバルの環礁国の人口増加・経済成長・ライフスタイルの変化によって、従来行われてきた伝統的な土地の管理の仕組みや植生を管理するしくみが崩壊することによっても起きている。これらの複合的要因がツバルの州島地形を安定化していた自然の機能を損ねていると分析している。
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