脂質ラフトと疾病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/26 10:01 UTC 版)
脂質ラフトは様々な疾病との関わりが指摘されている。病原性大腸菌であるO-157が出すベロ毒素、アルツハイマー病に深く関与すると言われるアミロイドβタンパク質、プリオン病を引き起こすプリオンタンパク質、さらにはエイズウイルス、C型肝炎ウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイルスが脂質ラフトに会合すると言われている。 インフルエンザウイルスにおいては、二種のエンベロープタンパク質、すなわち宿主細胞進入に関与するヘマグルチン、出芽に関与するノイラミニダーゼの両膜貫通型糖タンパク質が共に脂質ラフトへの親和性を有している。また、細胞進入のためには、宿主側の細胞表面に多量の受容体が必要であるとされるが、この需要を満たすためには、これらの受容体が脂質ラフトに集合していることが必須であると考えられている。 アルツハイマー病では、以前よりコレステロールとアミロイドβタンパク質の生成、蓄積との正の相関が指摘されてきたが、アミロイドβタンパク質自身およびそれを生成させる酵素(βセクレターゼおよびγセクレターゼ)の活性が脂質ラフト上に見出され、脂質ラフトとの関係が指摘された。すなわち、コレステロールとの相関は脂質ラフトに起因すると提唱されている。
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