細菌の形質転換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 20:29 UTC 版)
自然界での細菌の形質転換は供与側の細菌と受容側の細菌へのDNAの転移を伴うもので、通常は供与側も受容側も同じ種である。細菌の接合や形質導入とは異なり、形質転換はこの過程の遂行のために特異的な相互作用を行う多数の細菌遺伝子産物に依存している。このように、形質転換は明らかに細菌のDNA転移のための適応である。細菌が供与DNAを結合し、取り込み、相同組換えによって染色体へ組み込むためには、まずコンピテンスと呼ばれる特別な生理状態へと移行する必要がある。細菌の形質転換時には、真核生物の減数分裂や有糸分裂時と同様に、RecA/Rad51/Dmc1遺伝子ファミリーが相同組換えにおいて中心的な役割を果たす。例えば、RecAタンパク質は枯草菌Bacillus subtilisと肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeの形質転換に必須であり、これらの生物では、RecA遺伝子の発現は形質転換のためのコンピテンスの確立時に誘導される。 形質転換過程の一部として、RecAタンパク質は進入してくる一本鎖DNA(ssDNA)と相互作用してRecA/ssDNAヌクレオフィラメントを形成し、染色体の相同領域をスキャンしてssDNAを鎖交換と相同組換えが起こる領域へ持ってゆく。このように、細菌の形質転換時の相同組換え過程は減数分裂時の相同組換えと基本的に類似している。
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