細胞移動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 17:04 UTC 版)
In vitroでは、図7に示すように、4段階で細胞は移動する(ここでは、左から右への移動を示す)。 細胞質を前方に伸張(extension) 伸張した細胞質が新たに接着(adhesion) 細胞全体が位置を変える(translocation) 細胞の最後端の接着部分をはずす(de-adhesion) 細胞が移動するには、着脱できる接着が必要である。 フィブロネクチンはこの着脱できる接着を提供している。1978年、米国・NIH・国立がん研究所のケネス・ヤマダがフィブロネクチンの細胞接着活性を発見した。マウスSV1細胞の小さなかたまりをフィブロネクチンをコートした培養皿、あるいはコートしてない培養皿の上に置いた。24時間後、フィブロネクチンをコートしてない培養皿では、細胞のかたまりはもとのままであったが、フィブロネクチンをコートした培養皿では、細胞は移動し、分散していた。同年、米国・マサチューセッツ工科大学のリチャード・ハインズもフィブロネクチンの細胞移動活性を発見した。 細胞移動のin vivoの役割は、生体内での細胞移動そのものである。神経堤細胞(neural crest cell)、生殖細胞(germ cell)、筋細胞(muscle cell)は、発生の初期段階で移動する。 神経堤細胞を例に説明すると、神経堤細胞が生体内で移動する道筋にフィブロネクチンがある。その移動は、フィブロネクチンとインテグリンの結合を特異的に阻害するRGDペプチドで阻害される などから、生体内で、神経堤細胞はフィブロネクチンの敷かれた道を移動するとされた。
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