細木之伴とは? わかりやすく解説

細木之伴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/27 09:18 UTC 版)

細木 之伴[1][2](ほそき ゆきとも、1875年明治8年〉 - 1945年昭和20年〉2月)は、日本実業家[注 1]、政治運動家。占術家細木数子の父。

経歴

高知県幡多郡八束村(現・四万十市)出身[3]。実母は小野藤で、小野家は土佐国(現・高知県)で代々代官をしていた名家であった[2]。父方の細木姓を名乗った[2]

十代の頃東京に出て、神田神保町にあった永易弁護士事務所というところに書生のような形で入り込んだ[2]1906年明治大学卒業[4]、明法学士である[1]。身の上その他判断を行う(商号は月桂堂)[5]

民政党院外団の壮士[注 2]として活動した。新聞沙汰になるような事件を起こして東京を離れ、富山へ逃げた[2]

落合の家では一時、高島易断支部の看板をかけ、本部から文句が出てやめてからは、生命保険会社の代理店を始めた[2]

大東亜戦争が始まる頃、政治活動から身を引き、渋谷百軒店で「ロマンスクラブ[注 3]」という名前のカフェを始めた[2]

人物像

昔は元恵という名を名乗っていた[4][7]。一説には生涯に四度も名前を変えたと言われる[2]

之伴の許には大野伴睦や、松葉会会長の兄などが出入りしており、暴力団関係にも幅広い人脈をもっていた[2][8]。渋谷の路上でチンピラに背中を斬りつけられ瀕死の重傷を負ったこともある[2]

外出するときはベロアの帽子をかぶり、紋付の上に二重まわしを羽織って、仕込み杖のステッキを持ち歩くのを常としていた[2][9]

住所は東京府豊多摩郡淀橋町大字柏木[1][5](現・新宿区)、東京市神田区表神保町[4](現・千代田区)、渋谷区円山町[3][10]

家族・親族・家系

三男五女あり[2]

脚注

注釈

  1. ^ 1936年に刊行された『高知県人士録』には、細木之伴の肩書は「実業家、染物業、月桂堂経営」とある[3]
  2. ^ 院外団の壮士とはどのようなものか。「政治ゴロ」と解するのが手っ取り早いのだろうが、犯罪社会学者の岩井弘融は次のように記している。「明治以後の歴史において、その政治過程に絡まる原始的な暴力の演ずる役割は、極めて大きかった。民主的な政党政治の未発達による多くのテロルの発生、支配者の側における国家権力の強制権の拡大的行使による国家暴力、戦後の大衆運動に対する破壊的な暴力介入にいたるまで、いかに政治の場が原始的暴力によって跳梁されてきたか」[6]
  3. ^ 「ロマンスクラブ」はやがて「南海」という名に改められる[2]

出典

  1. ^ a b c 『土佐紳士録』東京市及東京府下(ホ之部)8頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2023年9月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 『昭和虚人伝』154 - 155、184 - 186頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2025年7月27日閲覧。
  3. ^ a b c 『高知県人士録』342頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2025年7月27日閲覧。
  4. ^ a b c 『明治大学校友会員名簿』ほ之部20頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2023年9月11日閲覧。
  5. ^ a b 『官報 1918年12月21日』官報 第1916号 538頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2023年9月11日閲覧。
  6. ^ 『病理集団の構造』、溝口敦著『細木数子―魔女の履歴書』22頁)。
  7. ^ 佐野眞一著『あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝』219頁
  8. ^ 佐野眞一『あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝』184頁
  9. ^ 佐野眞一『あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝』185頁
  10. ^ 『職業別電話名簿 第22版』1960頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2023年9月11日閲覧。

参考文献

  • 大蔵省印刷局 編『官報 1918年12月21日』日本マイクロ写真、1918年。
  • 『土佐紳士録』海南社、1919年。
  • 日本商工通信社 編『職業別電話名簿 第22版』日本商工通信社、1932年。
  • 南人社 編『高知県人士録』南人社、1936年。
  • 佐野眞一『昭和虚人伝』文藝春秋、1989年。
  • 佐野眞一『あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝』筑摩書房、1999年。




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