紙製薬莢の長所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/15 10:08 UTC 版)
紙製薬莢が最も広く利用されたのは前装式の銃器である。こうした銃器がまとめられていない火薬と弾丸を装填する一方で、紙製薬莢は密封状態の包みに、すでに計量済みの火薬と弾丸をまとめて内蔵した。これは装填中に薬量をはかる行為を不要とした。散弾のように多数の弾頭を用いる場合にも、薬莢は弾頭をまとめて包む役割を果たし、量ったり数えたりする必要はなくなった。また紙は滑腔銃身の銃器にとってパッチの役割も果たした。銃の口径よりも小さな弾丸を撃つ際、紙や布製のパッチが当てられたことで銃身内が密閉された。 薬莢に使われる紙はかなり改修されていた。1859年に公表されたエンフィールド銃用紙製薬莢の製造要領では、2種類の異なった厚みを持つ紙を3片用い、被包の複雑さが示されている。管打式リボルバーに見られるようないくつかの弾薬では硝化された紙を用いた。硝酸カリウム溶液に浸して処理した後に乾かすと、紙はより燃えやすくなり、射撃後の完全燃焼を確実なものとした。 製造に要する手間にもかかわらず、紙製薬莢は南北戦争の時期を通じて使用され、この後には近代的な金属製薬莢によって代替された。
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