精神分析と憂鬱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 14:28 UTC 版)
精神分析学者ジークムント・フロイトは1917年に著した『悲哀とメランコリー』(Trauer und Melancholie) で「悲しみ」(悲哀、喪)と「憂鬱」(メランコリー)を区別した。愛する者や対象を失って起こる悲哀の場合、時間をかけて悲哀(喪)の仕事を行うことで、再び別の対象へ愛を向けられるようになる。これに対しメランコリーは、「苦痛にみちた深い不機嫌さ・外界にたいする関心の放棄、愛する能力の喪失、あらゆる行動の制止と、自責や自嘲の形をとる自我感情の低下--妄想的に処罰を期待するほどになる--を特色としている。」メランコリーの場合、愛するものを失った悲しみは悲哀と共通するが、「愛するもの」が具体的なものではなく観念的なものであること、対象を失った愛は自己愛に退行し、失った対象と自我との同一化が進むこと、この過程で愛は憎しみに変わり、失った対象およびこれと同一化された自我に対する憎しみが高まり自責や自嘲が起こることが異なるとされ、フロイトはここに自殺の原因をも見ている。
※この「精神分析と憂鬱」の解説は、「メランコリー」の解説の一部です。
「精神分析と憂鬱」を含む「メランコリー」の記事については、「メランコリー」の概要を参照ください。
- 精神分析と憂鬱のページへのリンク