粘着式による登坂の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/01 05:23 UTC 版)
「ラック式鉄道」の記事における「粘着式による登坂の限界」の解説
ラック式鉄道に対して車輪とレールの間の摩擦力(粘着力)によってのみ駆動と支持を行う通常の鉄道を粘着式鉄道と呼ぶが、粘着式の場合、登坂可能条件は「1000μWD≧W(r+i+a)」という式で求められる(左辺:動力車の粘着引張力・右辺:列車全体の走行の諸抵抗)。 (μ=粘着係数(無次元)WD=動力車の動輪上重量(t)、W=列車全体の重量(t)、r=単位重量当たりの走行抵抗(kg/t)、i=勾配上における単位重量当たりの勾配抵抗、a=加速運転における単位重量当たりの加速度抵抗(kg/t)。iとaの抵抗の値は「i=勾配角度G(kg/t)」(勾配角度Gは勾配の‰での数値)、「a=31α(kg/t)」(αは加速度(km/h)/s)。) この式を勾配角度Gを求める場合に変換すると「G≦1000μWD/W-r-31α」となり、粘着係数を鉄道において一般的な0.15・0.20・0.25とし、単位当たり走行抵抗rを7、加速度αを0.25(km/h)/sとすると、登坂限界の勾配は以下の表のようになる。 粘着式鉄道における登坂限界勾配の推定(単位‰) 列車全体の重量/動輪上重量粘着係数0.15粘着係数0.20粘着係数0.251倍(全軸駆動の動力車のみ) 135 185 235 2倍 60 85 110 2.5倍 45 65 85 3倍 35 52 69 この数値は仮想的な物で実際には安全に余裕を見込んで設置される必要性があるため、鉄道における勾配は全軸駆動の電車列車でも100‰、機関車牽引の場合は70‰付近が粘着式の限界とされている。実際の鉄道でもポルトガルのリスボントラムでは最急勾配135パーミル、オーストリアのペストリングベルク鉄道は最急勾配116パーミルであるなど、欧州では最急勾配100パーミル前後の粘着式の路面電車が最急になる。
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