第14問題: 四角錐切頭体の体積
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「モスクワ数学パピルス」の記事における「第14問題: 四角錐切頭体の体積」の解説
モスクワ数学パピルスの第14問題は、その中でも最も難問で、切頭体の体積を求める問題である。切頭体の体積を求める最古の例の1つである。古代の数学で完全な多角錐や円錐の体積を求める例は知られていない。メソポタミアでも同様に、完全な角錐や円錐よりも切頭体の体積を求めることに興味を持っていたと思われる。例えばバビロニアの数学粘土板 BM 85194 には、城塞の壁の一部である台形状の部分の体積を求める計算が刻まれている。 第14問題では、上面が1辺の長さ2の正方形で、底面が1辺の長さ4の正方形、高さが6の正四角錐台の体積を求めている。その解は56と記されていて、正しい解である。 解法は次のように書かれている。「正四角錐台は高さが6、底面の辺が4、上面の辺が2である。4を2乗して16となる。4を2倍して8となる。2を2乗して4となる。16と8と4を足して28を得る。6の1/3を求め2を得る。28を2倍して56を得る。この56が正しい解である」 式で表すと次のようになり、正しい式である。 V = 1 3 6 ( 4 2 + 4 × 2 + 2 2 ) {\displaystyle V={\frac {1}{3}}6(4^{2}+4\times 2+2^{2})} すなわち、古代エジプト人は正四角錐台の正しい体積の公式を知っていたとわかる。高さを h、底面の辺を a、上面の辺を b とすると、次のような公式となる。 V = 1 3 h ( a 2 + a b + b 2 ) . {\displaystyle V={\frac {1}{3}}h(a^{2}+ab+b^{2}).} 古代エジプト人がどのようにして正しい公式にたどり着いたのかは不明である。バビロニア人は、上面と底面の面積の平均をとり、それに高さをかけるという間違った計算法を採用していた。 不思議なことにモスクワ数学パピルスに最初に注釈をつけた Touraeff は、この第14問題が任意の切頭体の体積を与える公式を示していると考えた。次に示したその公式は、モスクワ数学パピルスが記されてから3000年間知られていなかったものである(Aは底面の面積、Bは上面の面積)。このような見方をするのは Touraeff だけではない。 V = 1 3 h ( A + A B + B ) . {\displaystyle V={\frac {1}{3}}h(A+{\sqrt {AB}}+B).} 正四角錐台の体積を正しく求めていることから、これを積分法の起源とする見方もある。
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