立法過程におけるログローリング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 10:06 UTC 版)
「ログローリング」の記事における「立法過程におけるログローリング」の解説
具体的なログローリングの例を以下に見てみたい。定数99の議会で議員Aと議員Bの二人の議員に焦点を当てることとする。今議会においては議題1と議題2の二つの議題について審議が行われており、議題1について法案X、議題2について法案Yがそれぞれ提出されているとする。議員Aは議題1に関して特定の利益があるために強い関心を持っているが、議題2に関してはこの議題から得られる効用は少なくさほど関心がない。逆に議員Bは議題2には強い関心を払っているが、議題1にはあまり関心がない。ここで議員Aは法案Xから利得を得るためこれを可決・成立させたい一方で、議題2に関しては一応法案Yに反対しているとする。他方で議員Bは法案Yの可決・成立を期したいと考えており、かつ一応は法案Xに反対しているとする。この時に法案Xを支持する議員が49対50で少数派であり、法案Yに賛成する議員も49対50で少数派であると仮定しよう。効用を最大化しようとする合理的な議員を仮定するならば、次のことが言えるであろう。すなわち議員Aはあまり関心のない、つまり自身の効用に関係ない議題2における自らの選好を放棄してでも議題1における法案Xの成立を優先させる。同様に、議員Bも自分の効用にあまり関わらない議題1おける自らの選好を放棄してでも議題2における法案Yの成立を優先させる。従って、議員Aと議員Bの間には一種の取り決めが成立することとなる。すなわち議員Aが議題2に関して偽の選好を表明して法案Yに賛成することを約束する一方で、議員Bも議題1に関して偽の選好を表明して法案Xに賛成することを取り決める。こうしてこのような取り決めの結果、法案Xは50対49で可決・成立し、法案Yも50対49で可決されることになる。このため議員A・Bは一定の制約の下ではあるが、自らの効用を最大化することに成功することとなる。この時に、議員Aと議員Bは法案Yへの反対票と法案Xへの賛成票を取引したことになる。またこのようにログローリングを行う投票者の集団(この場合は議員Aと議員B)を、取引連合と呼ぶ。
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